2022-05-18

【役員37人抜きで就任】損保ジャパン・白川儀一社長が考える「本当に顧客のためになる損害保険」とは?

白川儀一・損害保険ジャパン社長



AIと「人」の関係をどう考えるか?


 ─ 今、世界ではロシアのウクライナ侵攻など予想外のことが起きていますが、これも踏まえた今後の経済見通し、損保の役割をどう考えますか。

 白川 まず、私どもの損害保険事業の中で、ウクライナで起きていることが直接的に業績などに与える影響は限定的だと考えています。

 ただ、今後原油価格のレベルがさらに上がって、これが長期化すると、私どもにとっては後追いで影響が出てきます。個人消費に悪影響を及ぼしますし、それによって企業活動が停滞することになれば、私どものトップライン(売上高)にも悪影響になります。

 保険会社が戦争に何か介入できるかというと難しい。ただ、原油価格が高騰し、ガソリン代が上昇する今、例えば中小企業の社有車の燃料費にも大きな影響が出てきます。

 そこに向けて、できることがあるとすれば、私どもの持つデータで安全運転、燃料消費量を減らすことを意識したエコドライブとはどういうものかを分析し、お客様にソリューションを提供することです。それによって、お客様の事故が減れば保険料は減り、エコドライブになれば燃料にかかる費用も減る。さらにCO2削減につながって地球にもいいと。

 保険は事故を補償するためにありますが、事故が起きない方が私どもにとってもいいわけです。そうしたことにつながるソリューションの開発に、今一生懸命取り組んでいます。

 ─ データやAIを活用していますが、冒頭に「人」が大事だという話をされました。AIと「人」との関係をどう考えていますか。

 白川 保険事業の中で最も早くAI、データの機能が発揮できる分野は、事故の保険金支払いだと思っています。

 例えば自動車事故の場合、少し擦ったというような難しくない事案もあれば、複雑に絡み合った事案もありますが、圧倒的に多いのは前者です。現状はここに相当な人的リソースをかけてお支払い対応をしているというのが実情です。

 こうした難しくない事案ほどAI、データを活用した自動確認が進んでいくと見て、現在開発中です。AIで人的リソースが浮けば、この人達が持つ丁寧さや専門性を難事案の方に振り向けることができます。それによって、私どもの事故対応品質が、さらに向上すると考えています。

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