公的資金返済の方法は?
─ 新生銀行に残る公的資金3500億円の返済に3年で目処を付けるということですが、非上場化も一つの選択肢ですか。
北尾 新生銀行株式の保有比率は、我々と政府とを合わせると、すでに相当高いわけです。
そこで我々が配慮すべきことは、少数株主の立場をどれだけ尊重しながら、3500億円の血税の返済を成し遂げるかということです。
もちろん業績を上げていくとうことは言うまでもありません。一方、新生銀行は前身の旧日本長期信用銀行が破綻した後に、政府から資金の注入を受けており、国民負担が発生しない形で回収するには株価を約7450円まで高める必要がある。7450円と公的資金3500億円が結びついているために、返済できずに20年以上が経っているわけです。
ですから、そこはもう少しフレキシブルに考えるべきだと思っています。いずれにせよ、返済は必ず成し遂げます。
─ SBIグループの30年後、50年後の姿をどう描いていますか。
北尾 私が残す遺伝子として、起業家精神を常に持ち続けていて欲しいと思っています。そして、スピーディに意思決定ができる体制は、ずっと確保してもらいたいですね。
もう一つは、常に自己否定、自己変革、自己進化で、成功体験にあぐらをかくことなく、常に進化し続けていく。これらの遺伝子が残っていれば、これからの300年でも隆々としていけるのではないかと思います。
─ グループのこれからを担う人材にはどう期待しますか。
北尾 私の次の世代、新生銀行の川島、SBI証券の高村、モーニングスターの朝倉などに、私はいろいろな形で薫陶を与えてきましたが、人間的に非常に成長していますね。
企業経営は1人ではできません。ですから、みんなの力を集合していけるような人間力を持たなければいけないと思います。彼らはその人間力を、私の下で随分養ってくれた。
早い時期から、グループ企業の経営を任せて、その中で鍛えてきました。実践の中で鍛えることが大事だと思います。そして本人達も非常に努力している。今後も彼らの成長が楽しみです。