2022-04-21

SBI・北尾吉孝社長に直撃!新生銀行の公的資金返済、総合金融グループとしての成長の道筋は?

北尾吉孝・SBIホールディングス社長



企業哲学を浸透させ意識改革を


 ─ 新生銀行社長には前SBIホールディングス副社長の川島克哉さんが就きましたが、川島さんを選んだ理由は?

 北尾 川島は私と30年以上の付き合いです。あれほど私が怒った人間もいないのではないかというくらい、いろいろな形で苦楽を共にしてきました。「出藍の誉れ」で、彼は十分にやっていけます。

「3年という時間を与えるから、向こうで頑張ってきなさい。大義である公的資金3500億円の返済に、3年で決着をつけよう」ということを伝えて、送り出したわけです。

 ─ 改めて、新生銀行の強みはどこだと考えていますか。

 北尾 一つは能力の高い人がいることだと思っていますが、それを十分に生かし切れていないとも感じています。なぜなら、公的資金3500億円が手枷足枷となって組織全体が縮こまっているからだと思います。

 例えば、運用一つ取ってみても、一般的な地銀の運用よりもリスクテイクしていない。公的資金が入っていることを意識し過ぎて、自分達のリスクに関わる行動を制限してきたように思えます。

 リスクというのはマネージャブルなリスクかどうかが大事なんです。ところが、かつてそうした判断に至らずに大きなリスクを取り、リーマンショックの際に大きな痛手を受けた。これで「羹に懲りて膾を吹く」になってしまったのです。

 極めて保守的な運用となっているので、これを少し変えるだけで、運用益は大幅に改善されるのではないかと思います。

 ─ どのように運用を立て直していきますか。

 北尾 新たにポートフォリオを組み直すことを考えています。これは当社グループのモーニングスター社長の朝倉智也の下で練り上げたポートフォリオを元に、新生銀行の担当者と話し合っていく予定です。

 また、新生銀行では、その時々の株主の意向を受けて歴代社長が変わり、その都度経営方針も変わってきたため、終始一貫した企業哲学が生まれていない。哲学、思想を持つことはあらゆる面で一番大事ですが、これをきちんと持てば、大きく意識改革が進むのではないかと考えています。

 孫子の『兵法』にも、一丁目一番地は「道」だと書いてあります。道というのは君子の哲学、思想が末端にまで行き渡って、一体化がなされている状況ですが、これがなかった。

 西欧でも例えばピーター・F・ドラッカーが経営には価値、使命、ビジョンの確立が最も重要と言っています。これらはアウトソーシングできないんだと。

 全て自分の目で見て、自分の耳で聞き、自分の頭で考える。ソフトバンクグループの孫正義さんの言葉を借りれば「脳味噌がちぎれるくらい考える」ということが大事です。

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