すでに太陽光やバイオマス、そして洋上風力などの再エネ案件に着手している他、同社が期待しているのは、カーボンニュートラルに貢献するCCS(CO2=二酸化炭素の分離・回収・貯留)技術の早期実用化だ。
現実的に再エネをどんなに導入しても、発電や工場でどうしてもCO2の排出が残ってしまうため、そのCO2を回収する必要がある。
そのカギを握るのがCCSで、国際エネルギー機関(IEA)によると、2060年までのCO2削減量の合計のうち14%をCCSで担うことが期待されている。
CCSの技術開発を巡っては、すでに北海道・苫小牧で政府の実証実験が開始。実証事業の実施にあたるのは複数の事業者が出資する日本CCS調査で、石油資源開発は筆頭株主として実証試験に参画中だ。
「CCSは大きく4段階あって、地中に埋められそうなところを探す、適地が見つかったら井戸を掘る、井戸を掘ったらそこからCO2を圧入していく、圧入が終わった後はCO2が漏れていないかどうかをモニタリングする。この4段階の事業を単独でできるのは日本では当社グループだけ。これからは再エネやCCSが当社のビジネスの新たな担い手になっていくのではないか。特にCCSでは日本の第一人者と自負している。CO2を枯渇した油ガス田に圧入し油ガスの生産量を増やすCCUS(CO2の分離・回収・有効活用・貯留)も含め、脱炭素社会時代にもエネルギー安定供給の役割を果たせるように備えておきたい」(藤田氏)
われわれの生活や産業に不可欠なエネルギー。安定供給という大事な使命を抱えつつ、脱炭素へ向けた藤田氏の挑戦はこれからも続く。