2021-10-25

【政界】「新しい資本主義」に向けた具体策とは?岸田首相の真価問われる衆院選

イラスト・山田紳



「3A」と結束

 安倍、麻生、甘利の「3A」への「忖度」「傀儡」とみる向きもあるが、岸田は周囲に「配慮はない」と強調する。むしろ安倍は経済産業相に就いた最側近である萩生田光一の官房長官就任を望んでいたとされ、「『萩生田官房長官』が実現しなかったことに不満を漏らしている」(自民党ベテラン)という。

 麻生も財務相を続投していれば、14日に自身が敬愛する戦前の蔵相・高橋是清の在任期間を抜いて歴代2位を更新するはずだったが、未練を残しての退任となった。とはいえ、3Aは、リベラル色が強い河野太郎の首相就任だけは避けたかった点で一致しており、岸田を支えることは間違いない。

 歴代最長の5年以上にわたり幹事長に君臨した二階俊博に引導を渡したのは岸田だった。総裁選にあたり、総裁を除く党役員任期を「3年まで」とする改革案を示し、これが引き金となって「二階切り」につながった。歴代、政局が苦手とされ、「公家集団」と揶揄された宏池会の会長である岸田が闘争心をあらわにして政局を仕掛け、そして成功した。

 一方、総裁選で注目を集めた小泉進次郎、石破茂、河野の「小石河連合」は冷遇した。「全員野球」を唱えた岸田の考えとは矛盾するが、そこは最高権力を争った結果である。

 以前から「岸田はけんかをしたこともない」と嫌ってきた前首相の菅義偉も、総裁選で河野を支持したことにより安倍、麻生とたもとを分かつ形となった。約1年前、ほとんどの派閥が支持して首相の座に就きながら、岸田が仕掛けた「けんか」に負けたことで、これから菅の真価が問われることになる。

 岸田は総裁選で「ノーサイド」と言ったが、政局の火種は残る。自民党は岸田側に就いた安倍・麻生連合と、「小石河」および菅らのグループとの2大勢力に収斂された形。その溝が微妙に影を落とせば、衆院選への悪影響になりかねない。

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