2021-10-13

【農水省】クロマグロ遊漁が急増 漁師の憤り受け管理徹底策

写真はイメージ

水産庁は8月下旬から遊漁船による太平洋クロマグロの釣りを全面的に禁止している。今年6月以降、漁獲量が想定を上回ったことが理由。マグロ漁師はレジャーの釣りを苦々しく思っているものの、遊漁が観光資源となっている地方もあるため、いつまでも禁止し続けることは難しい。遊漁船向けの漁獲枠新設も含めて資源管理体制を強化する案が同庁で浮上している。

 クロマグロは乱獲が響いて資源量が激減したため、日本や米国、台湾などは2015年から小型魚(30㌔未満)と大型魚(30㌔以上)に分け、国際的な漁獲枠を導入した。すしネタや刺し身として人気が高く、マグロの中でも最高級品とされる。

 大物1尾を釣り上げれば数百万円単位の収入につながる。漁業者は漁獲枠の超過を許されない一方、遊漁者は事実上取り放題だったため、漁師の不満は爆発寸前。クロマグロの遊漁をいかに制限するか。水産庁をここ数年悩ませてきた課題だ。

 同庁は今年6月から、小型魚の漁獲を禁じ、大型魚については取った数量の報告を義務付ける運用を始めた。新たなルールを導入した途端、約3カ月間で遊漁船による漁獲量は20㌧に到達。昨年1年間の実績の2倍に相当する。漁業者の操業に支障を来すため、遊漁船による大型魚の漁獲は来年5月末まで全面的に禁止となった。

 漁獲量が増加した理由は2つ考えられる。1つは管理を徹底した結果、資源量が増えたこと。もう1つはこれまでは無申告が多かった可能性が否定できないことだ。昨年まで数量報告はあくまでも要請にとどまっていたため、遊漁の実態をつかみ切れていなかったとみられる。

 案の1つとして出てきている遊漁船向けの枠導入の時期は今のところ未定。遊漁を制御することは国際的な潮流となっている。漁業者、遊漁関係者、役所が率直に意見を交わし、遊漁の最適な管理体制を決めることが求められている。

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