2021-09-27

プロジェクトごとに外部戦力を調達 【サーキュレーション】の“プロ人材”サービス戦略

久保田雅俊・サーキュレーション社長



累計8千件のプロジェクト実績

 サーキュレーションは各企業のニーズに応じてプロジェクトを組み、登録人材の中から適任者を選定して企業側とチームを組成させる。登録人材は期間限定でミッションを遂行する「業務委託」という形態で従事。そのため「同時に複数プロジェクトへ参画することもある」(同)。

 同社の強みは手掛けたプロジェクトの成否やプロ人材のスキルなどのデータを蓄積している点だ。データを基に顧客に最適なプロ人材を紹介できるようになっている。「どのような領域で外部のプロ人材を活用するか。その要件定義からしっかり行うため、プロ人材の評価を把握することが肝になる。そのため当社は事前のインタビューや累計8千件のプロジェクトを通じて細分化されたスキルチェックを
行っている」(同)。

 プロ人材の働き方も多様だ。週1日から週3日、1日当たり2時間から6時間、6カ月から12カ月の割り当てと、プロジェクト単位での稼働が基本。「経験・知見を持ったプロ人材が1つの会社に縛られているのはもったいない。1人のプロ人材が複数の会社で力を発揮すれば、生産性が上がり、労働力不足の解消にもつながる」と久保田氏。

 同社のサービスが活用された事例としては、大企業はもちろん、創業200年の飴屋や畳屋、引っ越しなどの中小企業が多い。大企業ではアサヒビールがAIを用いたビールのパッケージデザインのシステムを開発。そこでサーキュレーションが200社以上へのAI導入の実績を持つプロ人材を紹介。1年半で世界初のシステムを開発した。


2021年7月末時点でプロ人材登録者数が1万7814名、取引社数3052社、累計プロジェクト実績が8631件に上る

 なぜ、このような仕組みを構築しようとしたのか。そこには久保田氏の原体験がある。学生時代に塾を経営していた父が倒れ、11年間にわたり父を介護。だが、経営情報は父しか分からず、21歳で会社の清算を経験。「経営に明るい人が側にいれば……」。地方の中小企業が持つ弱点や経営に関する経験・知見の重要性を痛感し、総合人材サービス企業・インテリジェンス(現パーソルキャリア)で働いた後、サーキュレーションの創業へとつながっていく。

 日本の将来推計人口は65年で8808万人。そのうち15~64歳の生産年齢人口は4529万人。15年比で約4割減だ。しかも、日本の企業の9割超は中小企業。その経営者たちは先行き不透明感やコロナ禍でのDXの進展、後継者不足にどう対応するかといった悩みを抱える。

 そこで外部のプロ人材の経験や知見を複数の企業でシェアすることで「経営者はもちろん、社員の成長にもつながる」(同)。その結果、世界と伍していける生産性を実現できる。自らの体験と照らし合わせて日本の産業界の課題の解決を図る久保田氏。

 いかに企業が求めるプロ人材を集めていけるか。その“目利き”が同社に求められてくる。

【時価総額国内5位】リクルートHDが時価総額10 兆円超え 海外の人材サービスが貢献

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事