2021-09-10

【高齢者も使えるデジタル化】コロナ禍でのWeb問診を実用化した医療ベンチャーの知恵──

メディアコンテンツファクトリーの電話自動応答システム『iver』の管理画面


アフターフォローができる医療の仕組みを

「患者さんと医療機関のコミュニケーションをデジタルツール等を活用してスムーズにしていくことを事業領域にしています」

『SymView』『iver』を提供するメディアコンテンツファクトリー代表取締役社長の毛塚牧人氏は事業について、こう語る。

 同社は1998年、医療機関向けのデジタルサイネージサーサービス『Medicaster』で創業。毛塚氏は、PwCコンサルティング(現IBM)、エムスリー子会社のアイチケットを経て2008年メディアコンテンツファクトリーに入社。代表取締役に就任。『SymView』や『iver』などクリニック向けのサービスを拡充。『SymView』は開始2年で約700の施設が利用している。

 その他、患者と医療機関の接点を強化すべく、医療機関のHP制作やLINEの運用支援サービスも手掛けている。

「LINEや電話(iver)など、患者の初期の接点部分をアナログからデジタルに換えていくプロダクトが揃ってきた」が、毛塚氏が目指すのは、その先のかかりつけ医と患者との“カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)”の構築。

 今は「外来で来たタイミングでしか患者とコミュニケーションが取れておらず、アフターフォローができていない。そこをテクノロジーで解決していきたい」と構想を語る。

 例えば、風邪で来院した患者に数日後「薬がなくなり、熱が収まっている頃合いですが、どうですか? 」というメッセージを送り、イエス/ノーのボタンを押して、現在の症状を伝えられるようにするといった形だ。

 かかりつけ医が機能していない日本だが、「テキストコミュニケーションが普及すれば、1人の医者が多くの患者を診ることも可能になると思います」とかかりつけ医の活躍に期待する。

 医療は身近な存在であり、死生観にも関わること。だからこそ「自分が納得できるサービスを受けられることが重要」だと毛塚氏は考える。言い換えれば、信頼できるかかりつけ医との関係構築が、納得ゆく医療につながるということだ。

 医療費の増大、少子高齢化など医療のあり方が問われる中、医療機関と患者の関係を密接にすることで、あるべき医療のカタチを追求している。

毛塚牧人・メディアコンテンツファクトリー代表取締役社長

AIで女性医療を変える!ソニー出身女性起業家

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