2024-03-21

森ビル社長・辻 慎吾の「街をつくり、街を育む!」

辻慎吾・森ビル社長




人手不足などの課題をどう解決していくか

 2020年初め、コロナ禍が起き、パンデミック(世界的大流行)となり、わたしたちの生き方・働き方も変化した。

 こうした時代の変化に対応して、辻氏はどう経営のカジ取りを進めようとしているのか?

「虎ノ門のステーションタワーって、6、7年で出来ているんですよ。あれだけの大規模再開発としては、多分一番早い例だと思います。もともとビル街で、麻布台のように土地の高低差があって、住宅が広がっている所とは違うんです。でも、それにしても、やはり早く開発がやれるようになってきている。われわれにも積み重ねてきたノウハウがあるし、国家戦略特区の指定もあったり、国の制度的な後押しもあります。そういった意味で、スピードアップが図れるようになりました」

 資材費高騰、人手不足下での建設である。

「経営的にも、財務的にも、あと建築費(の上昇)とか経済全体の動きなどを見て、早くやったほうがいいという判断があって、すごく急いでやりました。だから、(虎ノ門ヒルズステーションタワーと麻布台ヒルズの竣工が)一緒に、同時期になりました。でも一緒になっても、片方をズラさなかったんですよ」

 人手不足にどう対応するか?

「ええ、ホテルにしてもレストランにしても、働く人たち、スタッフがいないんですね。そもそも母数が減っていることもあるんですけど、それをどう確保していくかは世界共通の課題ですね。取り合いになるし、海外の人材も含めて、どうやって入れていくのかと。ロボットや新しいテクノロジーを取り入れていかないと多分厳しいと」

 昨今、建築費の高騰に加え、働き方改革で休みも取らなくてはいけなくなり、工期が延びるなどの課題が出てきている。

 最近は、賃金上昇で個人所得が増え、製品価格が上がって企業収益が好転し、それが賃金引上げにつながって更なる消費拡大へ─という好循環経済が世の中全般に期待されている。

「はい、モノの値段が上がるというのは悪いことではないんだけれども、(限界を)超えて上がってくると、これはいろいろなものに支障が出るということもあります」と辻氏。

 賃金と物価の上昇で、緊張感が要求されるということである。

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