2023-12-15

技研製作所の〝杭打ち技術〟無振動・無騒音で都市部の工事現場で脚光浴びる

遠隔操作によって自動圧入の実験を実施している



月面での建設活動プロジェクトにも参画

 この2つのシステムを組み合わせることで遠隔からの管理・確認や1人のオペレーターによる複数台の操作が実現可能になる。これが実用化していけば人手不足や長時間労働などへのソリューションになるだけではなく、海外展開にも弾みがつく。

 既に同社はアフリカのセネガルのダカール港の岸壁改修工事において、仮設レス施工で港の機能を止めることなく工事を終えている。また、オランダの「アムステルダムの運河」の護岸改修に関わる審査でも圧入技術の優位性が高く評価されて同市のパートナーに選ばれている。

 今後は国内外でインフラの長寿命化や更新がピークを迎えるだけに、海外でも需要は伸びると予想される。そんな背景から同社は21年3月期の売上高276億円、海外比率19.8%を10年後には売上高1000億円、海外比率50%を目指す。

 ただ足元では逆風が吹く。鋼材価格などが高騰し、「2~3倍のコスト増」(同)となっているからだ。値上げも徐々に浸透しているが、それでも限界がある。だからこそ、生産性を向上させる新たな技術の開発や海外の新市場開拓が喫緊の課題となる。

 そして「施工領域の拡大」と語る森部氏が見据えるのが〝宇宙〟だ。同社のサイレントパイラーのインプラント工法は国土交通省が参加者を募っていた「月面等での建設活動プロジェクト」において、技術研究開発対象として採択された。

 同社の圧入技術は重力に依存することなく、杭の引抜抵抗力を利用するため、重力が地球の6分の1の月でもコンパクトな機体で杭打ちが可能になると考えられるという。

 杭打ちに半世紀以上の歳月を重ねてきた技研製作所。その活躍の場は今後も広がりそうだ。

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