「ナタデココ」や「カスピ海ヨーグルト」を日本に紹介
そんなフジッコにはもう1つ、健康的な食材を日本に根付かせてきたという側面がある。代表例が「ナタデココ」。フィリピンで伝統的に食べられていた低カロリーなナタデココをいち早く商品化したのは同社だ。
また、グルジア(現ジョージア)の長寿村で食べられていたヨーグルトを「カスピ海ヨーグルト」としてヒットさせたのもフジッコ。「ヨーグルトの菌を発見して日本に持ち帰ってきた教授から依頼され、採算度外視で商品化した」と振り返る。
そんなフジッコだが、諸資材の高騰・エネルギー費用の増加という逆風に直面している。2022年3月期の売上高は550億円、営業利益は31億円、23年3月期は減収減益を余儀なくされた。安全・安心に妥協がない分、コストがかさんでいる状況とも言える。
福井氏は「スター商品の物量を高め、(商品やサービスを販売した際に直接得られる)限界利益を高めていく」方針を示す。そのためにもピーク時に450~460種類あった商品数も270~280種類に絞り、利益率の改善につなげていく。
また、健康にフォーカスした新規事業であるダイズライス事業にも注力していく考え。大豆タンパク質の商品の中から、ご飯の代替となる大豆商品を開発し、食べることで健康になり、肌も綺麗になる点を売りにする。
福井氏はフジッコを「紅クラゲのような存在にしたい」と語る。紅クラゲとは若返りを繰り返しながら数を増やす不老不死の象徴だ。「健康」を軸とした「スター商品」で競争の熾烈な食品業界での生き残りを図る。