2023-10-31

中興化成工業・庄野直之「創業から60年、加工が難しいフッ素樹脂で培った技術を、他の素材でも生かしていきたい」

庄野直之・中興化成工業会長兼社長




素材に「言うことを聞かせる」技術

 ─ 改めて、中興化成工業が手掛ける「フッ素樹脂」の良さ、可能性について聞かせて下さい。

 庄野 世の中にある人工で作った素材の中では、あらゆる意味で一番タフです。

 タフという時には、いろいろな定義があると思いますが、熱や強い薬品などでも溶けないですし、紫外線にも強い。「フォーエバー・ケミカル」と呼ばれるくらいです。

 非常に強い分、加工が難しい素材でもあります。言うことを聞かないわけです。言うことを聞かない樹脂の言うことを聞かせるわけですから、そこに技術が必要なのです。

 ─ 他社が真似できないということは言えますか。

 庄野 真似しにくいとは言えると思います。ですから我々は、フッ素樹脂の加工で培った、素材に「言うことを聞かせる技術」を他の素材で生かしていこうとしています。

 一番ハードルの高い素材を加工しているわけですから、例えばシリコーンなど、他素材の場合、更に強みを生かせるのではないかと考えています。

 我々以外にも技術を持った企業はあり、時には競合することもありますが、どちらかと言えば、お客様が持つ課題が違う場合が多いですから、お互いに違う課題を個別に解決しているという感覚があります。

 ─ 逆に、フッ素樹脂が抱える課題はありますか。

 庄野 欧州などで、環境問題からフッ素樹脂も含むPFASの使用を制限する「欧州PFAS制限案」が検討されています(PFASは有機フッ素化合物の総称)。

 それに対しては、PFASで問題になっているのは非常に一部のもので、フッ素樹脂は関係ないということを説明しています。即ち、問題があるのは「特定PFAS」であり、フッ素樹脂は分子量的にも別物であることを伝えると同時に、その特性からも体内には吸収されず、産業や社会に欠かせない樹脂であるというメッセージを出し続けているところです。

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