2023-10-04

SBIホールディングス・北尾吉孝氏に直撃!「金融を核に金融を超える。金融に加えて半導体事業など『世のため人のため』を軸とした事業展開を」

北尾吉孝・SBIホールディングス会長兼社長




日本の半導体をもう一度復活させたい

 ─ 23年7月には、台湾の半導体受託生産大手・力晶積成電子製造(PSMC)と共同で、日本で半導体工場を立ち上げることに合意しましたね。この狙いは?

 北尾 実は、半導体も地方創生と非常に関わっているんです。半導体工場を、どこかの地域に建設するとなると、雇用と所得に大きく貢献することになりますから、ひいては日本の成長への貢献にもつながります。

 半導体工場の設立も降って湧いた話ではなく、何をやれば地方のためになるかを考え続けてきた結果です。やはり、大きなことをやらなければいけないということです。

 ─ 工場の場所選定はどこまで進んでいますか。

 北尾 半導体工場ですから、工業用水、高圧電力、一定規模の土地といった必要条件があります。様々な地域の首長さんからお電話をいただいたり、直接お越しいただくなど、自薦他薦含め、多くのご要望をいただいていますが、できるだけ早く決めていかなければいけないと考えています。

 ありがたいのは、PSMCは技術力が高いことに加え、顧客の一部を回してもいいとまで言ってくれていることです。さらに、今回我々は共同出資会社を設立しますが、そこから生まれてくる知的財産は、その共同出資会社のものになるんです。ここは私がこだわった部分です。

 ─ 知的財産が日本に残るということですね。

 北尾 そうです。かつて日本は半導体の世界で5割以上のシェアを持っていましたが、1980年代の米国との摩擦を経て低迷し、今は10%程度のシェアです。これをもう一度復活させたいと思っています。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)、AI(人工知能)が盛んになり、半導体が必要な環境になっています。さらに日本はEV(電気自動車)の出遅れを取り戻さなければなりませんから、日本における半導体産業の復活は極めて大事です。日本を半導体の輸出基地、グローバルサプライチェーンの起点にしたいのです。

 PSMCに対しては、インドやサウジアラビアが誘致に向けてラブコールを出していたのですが、最終的に日本、我々を選んでくれた。PSMC会長の黄崇仁氏とは経営者として意気投合したこと、彼が昔日本にお世話になったという思いを持っていたことは決め手になったかもしれません。3月に会って以降、とんとん拍子で話が進み、最終的にまとまりました。

 ─ 人の「縁」も提携には大事な要素だったと。

 北尾 そう思います。そして、私が相当前から考えていたことが、1つひとつつながっている感覚があります。これは天のお助け、「天助」だと思っているんです。リスクをジャッジし、リターンも考えている部分はもちろんありますが、様々なことに関して、天助を受けながら今日まで来ました。その意味で天に感謝しているんです。

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