2023-09-15

アシックス・廣田康人社長に直撃!「コロナ禍ではeコマースで対応。今、パフォーマンスランニングで世界一を目指す」

廣田康人・アシックス社長CEO兼COO




「OneASICS」で顧客とのつながりを

 ─ 社長就任から5年が経ちましたが、嬉しかったことは何ですか。

 廣田 社長就任1年目は、いろいろな償却をさせてもらったこともあり、営業利益は出ていましたが、最終利益は赤字になりました。そうした様々な手を打っている中でも、社内の皆さんが私を受け入れてくれたのが、一番嬉しいことでしたね。

 ─ アシックスは海外売上比率が非常に高いですね。

 廣田 海外売上比率は80%を超えており、強い市場は欧州、北米、中国、豪州です。中でもランニングシューズのシェアは豪州で45%程度、欧州で32%程度あります。この地位を築き上げてくれた諸先輩の財産を維持できている形です。

 ランニング以外に強いのがテニスシューズです。現在、男子テニスの世界ナンバーワンプレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手が使ってくれています。

 ─ 今、社内に対してどういう言葉をかけていますか。

 廣田 毎年、元旦にキャッチフレーズを出しているのですが、23年は「飛躍」の年としました。社内に対しては、我々はまだまだ成長できるし、可能性がある会社なんだと言っています。社内の皆さんには楽しく、ワクワクしながら仕事して欲しいと思いますね。

 ─ アシックスの強さはどこにあると考えていますか。

 廣田 技術力です。スポーツをする上で大事な要素は安心、安全、快適ですが、我々のシューズやウェアは、これらを他社に負けないレベルで提供できます。

 ─ 会員制プログラムの「OneASICS」を設けていますが、この狙いは?

 廣田 先程、デジタル、eコマースでお客様とつながることができたという話をしましたが、これを日本はもちろんのこと、全世界の運動する人達とつながりを持ちたいと思っているんです。現在、会員数は全世界で約830万人ですが、まだまだ伸ばすことができると考えています。

 OneASICSによって、お客様とダイレクトなコミュニケーションを取ることができます。新商品、新サービスについて、皆さんの声を直接聞くこともできるわけです。

 新しいことに取り組むこともできます。例えば今、ランニングエコシステムの構築を進めています。22年に日本でレースエントリーのアプリやイベント運営などを手掛けるアールビーズという会社を買収しました。

 こうしたレースエントリーの企業は北米、欧州、豪州にもありますが、レースに参加する人達にはできるだけ「OneASICS」に登録してもらいたいと思っているんです。

 レースに出ると決めたらトレーニングをしなければいけません。その時に、どんなシューズを履けばいいか、トレーニング方法をアドバイスしたり、レース後には次のレースを案内することもできます。

 ─ 世界中のランナーとつながりを持っていくと。

 廣田 そうです。ランナーの方々とつながりを持ち、アシックスをもっと知ってもらいたいんです。また、「OneASICS」メンバーの増加率と、eコマースの増加率は平行して伸びていますから、そうしたビジネス上の理由ももちろんあります。

 ランニング、運動は非常に幅が広く、飲食も伴いますし、我々のグループには大会に出場した際の怪我などを保障する保険会社もあります。運動に関して考えられる、あらゆることを取り込んで提供していくプラットフォームが「ランニングエコシステム」だという考え方です。

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