2023-08-03

明治安田生命社長・永島英器の『生保の使命』論 「デジタルを活用しながら最後は『人』」

永島英器・明治安田生命保険社長




コロナ禍などで世の中が変化する中…

 この3年余のコロナ禍では、一時人々がリアルで会うことが難しくなった。特に対面営業を基本としてきた生保各社は苦戦を強いられ、それは明治安田も例外ではなかった。

 一方で、デジタル化は大きく進展。明治安田では契約者が病院からもらったレシートを撮影して電子手続きで保険金が請求できたり、営業職員がオンラインで説明し、契約を進めるといった環境は整った。

 一方で、「コロナ禍で不自由な生活を強いられて、今思うことは、対面というのは本当にいいということ。対面でしか得られない共感や絆は良さだと思う。我々は特に対面にはこだわっていて、デジタルは手段として活用するが、最後は『人間力』の勝負だと社内で話している。我々の原点を再確認した3年間だった」と永島氏。

「みなし入院」を中心に、コロナに関連して昨年は約600億円を支払ったが、契約者からは「保険のありがたみがわかった」といった声や、同社の営業職員への感謝の声などもあり「トータルではプラスだったと思う」と前向きに捉える。

 同社が営業職員を「MYリンクコーディネーター」、つまり絆を紡ぐ人という名称にしたのも、デジタルだけでなく対面を重要な要素としているため。

「これからもコロナや自然災害など、どんなことがあるかはわからないが『確かな安心をいつまでも』という我々が果たす使命がとても大きいと再確認した」(永島氏)

 永島氏はコロナ禍や、ロシア・ウクライナ戦争に直面して感じたことがあるという。

「効率的ではあるが非人間的な社会か、多少非効率性はあっても人間的な社会を残すのかという、大きな岐路に立っているような気がしている。私は人間的な社会を次世代に残したいと思うし、明治安田生命は人間尊重の絆・共感を紡ぐことができる社会を残すために、一生懸命汗をかきたいと思う」

 デジタル化やAI(人工知能)の進化など、世の中の速度は上がっているが、明治安田はその進化についていきながらも、より人間的なつながりを求める消費者の選択肢でもあり続ける姿勢を明確にしている。それを選ぶかどうかは、まさに消費者次第だと言える。

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