2023-06-22

東急不動産新社長・星野浩明の「コンテンツ型不動産戦略」「とにかく『人』が集まる街づくりを」

星野浩明・東急不動産社長

「渋谷らしさを維持するような仕掛け、仕組みづくりを」─。東急不動産新社長の星野浩明氏はこう話す。東急グループの渋谷再開発が「第2フェーズ」に入っている。渋谷駅から半径2.5キロを「広域渋谷圏」として、開発エリアを拡大しているのだ。その中で、東急不動産は東京・原宿を舞台にクリエイターなど「人」とともに街や施設の形をつくっていく新たな手法への取り組みを始めた。その中身とは。


今後の不動産市場はどうなる?

「現状は、心配ではないが、注視していきたいという状況」と今の不動産業界の状況を表現するのは、東急不動産新社長の星野浩明氏。

 欧米を中心とする金利上昇を受けて、低金利が続いてきた日本の金利環境がどうなるかは、不動産業界にとっては注目の的だった。なぜなら「この数年の不動産業界は低金利による販売好調が大きかった」(星野氏)から。その意味で金利上昇を警戒していたが、日本銀行の政策は当面緩和政策を維持する方針で、まだ低金利が続きそう。

 だが、一方でロシア・ウクライナ戦争などを受けたエネルギーコスト上昇、輸入インフレによって、建設関連コストの高騰が続く。かといって、すでにマンション価格などは高水準となっており、簡単に価格を上げることは難しい。

「オフィスは入居率、賃料とも安心できる内容。マンションも販売状況は非常に好調。この1、2年は見えているが、その先の開発ではコストを注意する必要がある」

 東急不動産、そして東急グループは近年、渋谷再開発に注力しているが、星野氏は「今年、いくつか竣工するプロジェクトがあるが、『広域渋谷圏』に腰を据えて取り組んでいきたい」と話す。

 東急グループの渋谷再開発は「第2フェーズ」に入っている。駅周辺のビル開発、基盤整備が第1フェーズ、渋谷駅を中心とした半径2.5キロ圏内の「広域渋谷圏」に開発エリアを広げていくのが第2フェーズとなる。

 その中で星野氏は「渋谷の『多様性』を大事にしていきたい」と強調。街を訪れるのは若い世代だけではなく年齢層の幅が広がっており、外国人の流入も多い。そうした多様な人々を受け入れる開発が求められている。

 その象徴とも言えるのが、24年春に開業を予定している「東急プラザ原宿」、通称「ハラカド」。現在、神宮前交差点には「東急プラザ表参道原宿」(東急プラザ表参道に改称、通称「オモカド」)が立つが、ハラカドはその対角線上に立地する。

 この施設では「コミュニケーション、文化の再生産を企図している」(星野氏)。多様な人々が集まり、新たなトレンドを発信し、集まる人達がさらに新しい文化を生み出してきたのが渋谷の魅力。「渋谷らしさを維持するような仕掛け、仕組みづくりを街としてやっていきたい」

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