2023-06-13

【政界】G7広島で期待以上の成果を上げた岸田首相が解散に慎重な真意

イラスト・山田紳



足立区議選の衝撃

 G7サミットが終われば解散風が吹くのは誰しも想像していたことだ。それを見越して、自民党副総裁の麻生太郎は「勢いのあるうちにやってくれたら助かるなという選挙に弱い人の考えだ」(5月16日付北國新聞)と事前にクギを刺していた。

 政調会長の萩生田光一も5月24日のラジオ番組で「前回の選挙から2年も経過していない。もう少しやるべきことがある。一つひとつ結果を出していかなければいけない」と早期解散に慎重な考えを示した。

 解散時期を左右しそうなのが幹事長の茂木敏充の処遇だ。「今、解散すれば茂木が衆院選の指揮を執り、自民党が勝てば秋の党役員人事で続投が濃厚になる。茂木の力をそぎたい岸田があえてその道を選ぶだろうか」。ある与党関係者の指摘はうがちすぎとは言えないだろう。

 自民党にとって気がかりなデータもある。5月21日投開票の東京都足立区議選で、自民党は候補者19人のうち7人(うち現職5人)が落選し、13人当選の公明党を下回ったのだ。統一地方選で全国的には堅調だった自民党が都内では苦戦した。その傾向がなお続いていることになる。

 自民、公明両党は「10増10減」で5増えた都内の小選挙区を巡って激しいさや当てを演じた。しこりが残るうちに選挙戦に突入したら、全国政党化を目指す日本維新の会が割り込む余地が広がる。

 政権が軌道に乗り始めたからこそ慎重さが求められる。岸田はそれを十分自覚しているのだろう。たび重なる解散の否定はカムフラージュではない。(敬称略)

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