2023-06-19

辻慎吾・森ビル社長「国際都市として東京にはポテンシャルがある! 人口減の中で都市間競争に勝つ街づくりを」

辻慎吾・森ビル社長




欧米の金融危機をどう見ていくか?

 ─ 利上げによって米国で銀行が破綻、欧州でクレディスイスが危機に陥って救済合併されるなど金融は転換期にあります。今後の金利動向も懸念されますが、今後をどう見ますか。

 辻 日本の金融政策でも日本銀行がYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)やゼロ金利の撤廃を行わなければいけないということは、よく言われています。それはいずれやらなければいけないことだと思うんです。

 我々はビジネス上、金利がゼロの時でも、中期経営計画の中に金利の上昇シナリオを織り込んでいるんです。足元では金利が上がっていませんから、予備費のような形になっています。

 日本は物価目標2%を掲げていますが、ちゃんと経済成長すれば、金利はゼロではなく上がってきます。ただ、日本が今のアメリカのように5%水準の金利になるかといったら違う。ですから、そこまでの金利上昇は想定していないということです。

 ─ 日本での金利上昇を、どのように想定していますか。

 辻 今までの経営計画では、オフィスの賃料は上がらないと想定してきました。しかし、金利が上がるとすると、モノの値段も上がっていきます。金利だけが上昇すると経済を潰すことになりますから。

 そして金利が上昇していく時にはオフィス賃料も上がっているはずです。その時には金利、モノの値段など経済全体が回っているわけですから、それをきちんと見極めた上で経営をしていけば、今の我々の財務基盤も含めて大丈夫だと見ています。

 ただ、アメリカ経済の状況はよく見ておかないといけません。そこまで恐れてはいませんが、リセッション(景気後退)に陥る可能性があります。あれだけ一気に金利を上げれば、当然反動が来ます。実際、シリコンバレーバンクなど複数の銀行が破綻しているわけですから。ただ、リーマンショックとは違う感じがしています。

 ─ 日本は人口減、少子高齢化が進んでいますが、この中で街をつくることの意義は?

 辻 人口減は経済にとってマイナスです。ではどうやって増やすかというと海外の人に来てもらわなければなりません。ですから世界の人から選ばれる都市にならないといけない。

 その中で世界の諸都市と国際都市間競争をしているわけです。そこで勝っていかなければ、誰も来なくなる。そうなると人口が減るだけでなく、日本人すら海外に出ていってしまう。そういう危機感を持つべきで、政・官・民が同じ認識を持ち、どうやったら都市として選ばれるかを考える必要があります。

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