2023-04-29

【創志学園】大橋博総長が語る「子どもには誰にでも可能性がある。心の火を点けることが大切です」

大橋博・創志学園総長



 ─ クラーク高校は92年の開校ですが、そもそも学習塾を運営していた大橋さんが通信制高校を設立しようと思った経緯を聞かせてください。

 大橋 もともとのきっかけは北海道で学校をつくって欲しいというお願いを受けたことです。クラーク高校のある深川市は、あまり特徴のある街ではありませんでした。市も街の発展に対する問題意識を持っていたのです。ただ当初は雪深い北海道に学校をつくっても生徒を集められる自信はありませんでした。

 ですから最初は断りました。ところが後日、深川市の市長さんも含めて13名も神戸にいらして、どうしてももう一回、深川に来て考え直して欲しいと。それでも進学校は日本中にあり、どう考えても後発組で生き残ることは難しい。そんなときに閃いたのが「広域通信制高等学校」というアイデアでした。

 通信制でありながら「全日型教育」という新たな学びのスタイルであれば活路が見出せる。しかも、当時は年間10万人の高校中退者が社会問題となっていました。そうならば、全国に先駆けて中退しない高校をつくればいいと日本で6番目、25年ぶりの認可をいただきました。

 高校に来れば先生と生徒が本当に仲良くできる。例えば、いじめのない学校です。いじめがないから、学校もやめたくならない。そんな学校をつくりたいと思いました。これが最初のスタートでした。この理念は今でも続いています。

 ─ 生徒本人もそうですが、その家族が喜びますね。

 大橋 そうですね。学校に行かない子がいる家庭はどうしても暗くなりがちです。お子さんをクラークに通わせようとしているお母様からはよく「友だちはできますか?」「うちの子を理解してくれる先生はいらっしゃいますか?」「大学へ行けますか?」「就職できるでしょうか?」といった質問をされます。そこで私たちは「クラークは大丈夫です」とお答えします。

 実際、クラークを卒業する生徒たちは卒業式で涙を流し、保護者の方々からは感謝のお手紙をたくさんいただいています。ですから不登校は学校制度の問題ではありません。家族同士が信頼関係を構築し、血の通った親子になっているか。その手助けを学校がするということです。

 ─ 学校が持っている本来の役割の1つですね。

 大橋 はい。ですから、私どもでは本校を除き、40カ所ある直営キャンパスには校門がありません。専門学校のような佇まいをしています。我々が1つの意思表示をしているからです。すなわち「ここから我々は逃げていきませんよ」と。それをご家族が信じてきてくれているということです。

 通う学校がなくて困っていた子どもたちが、クラークに通い始めたら不登校でなくなったと。そういう生徒はたくさんいます。保護者の方々も「うちの子がクラークに行き出してから勉強もしています」と喜ぶ声をたくさんいただいています。


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