─ トータルで底上げにつながる話じゃないと意味がないということですね。
首藤 やはり、大事なことはベースアップ。基本給の底上げが大事なんですね。今は幸い、組合側も経営者側も賃上げが大事だよねという意識になっていますけど、これが毎年続くかどうかが重要です。
日本にとっては、物価が上がっても安心して暮らしていけるような社会をつくっていくことが大事で、そのためには、やはり、物価上昇分を上回る賃上げを実現するしかないと思います。それが日本の最大の成長戦略なのではないかと思います。
─ 本当ですね。首藤さんは厚生労働省などの審議会の公益代表委員という立場でもありますが、こういう話は審議会にもしているんですか。
首藤 はい。やはり、今まで民間に任せても賃上げは全然実現しませんでしたから、ある程度は政府が政策として打ち出すことが必要だと思います。岸田政権は「人への投資」という観点でかなり動いていますし、今までの政権よりはかなり踏み込んでいると思います。
今年一気に起こった賃上げムードを来年、再来年と、どこまで継続していくことができるのか。それが政府・企業双方に問われていると思います。