2023-04-19

 「埋め込み型金融」で先陣切る住信SBIネット銀の〝開拓力〟、一般企業が銀行機能を持つ時代

円山法昭・住信SBIネット銀行社長

一般企業が、手軽に銀行機能を利用できる時代─。2023年3月にネット銀行として初めて上場した住信SBIネット銀行。同社が2年前から、日本で先陣を切って開拓してきたのが「BaaS」。これは銀行機能を他社にインフラとして提供するサービスのこと。「埋め込み型金融」とも呼ばれる。金融危機下の上場ながら、初値は公開価格を上回った。同社の開拓力とは。

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欧米で金融危機が起きる中での上場

「シリコンバレーバンク(SVB)破綻、クレディ・スイス危機など金融不安の中で上場できたのはよかった」と話すのは住信SBIネット銀行社長の円山法昭氏。

 2023年3月29日、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資するインターネット銀行・住信SBIネット銀行が東京証券取引所のスタンダード市場に上場した。

 ネット銀行の上場は国内で初めてのこと。初値は公開価格である1200円を1.8%上回る1222円を付けた。4月10日現在の時価総額は約2400億円となっている。

 23年3月期の業績見通しは、経常利益が290億円(前年同期比24.6%増)、純利益が194億円(同13.4%増)。ROE(株主資本利益率)は16.2%で、メガバンクが6%前後であることを考えると高い数字。

 本来は1年前の22年3月24日に上場を予定していたが、同年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻を受けた市場環境の悪化で延期を余儀なくされていた。1年前の上場申請の際には時価総額3000億円を想定していたが、今回は下回る結果となった。

 ただ今回も、冒頭の円山氏の言葉にあるように、米国でSVBなど銀行2行が破綻、欧州ではクレディ・スイスが経営危機に陥りUBSに救済買収されるなど、俄に金融危機の様相を呈する中での上場。

「毎週、毎日のように目まぐるしく状況が変わり、心休まる暇はなかった。ウクライナ侵攻で苦しい、悔しい思いをした1年前のことが頭をよぎったが、何としてもやり遂げようという思いで取り組んだ。ほっとしたという一言に尽きる」と円山氏。

 同社の事業は、デジタルバンク、モーゲージ(住宅ローン)、そしてBaaS(Banking as a Service)という大きく3つで構成される。

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