2023-04-11

「米国株は波乱相場、下落が続く。日本は30年続くデフレを脱却できるかが問われる」スガシタパートナーズ・菅下清廣

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長




大企業、ベンチャー問わず「革新」目指す企業が買われる

 ─ 日本の個人投資家は今後、どのようなスタンスを取ればいいと?

 菅下 4月以降は3月までの投資テーマとは変わってくる可能性があります。3月までは「バリュー株投資」で、好業績・高配当の海運、鉄鋼、商社を買う相場が続いてきましたが、3月末で「配当落ち」すると、材料織り込み済みで売られることが多いからです。

 ここからは、今後の投資テーマが何になるかを模索していくことになりますが、その手がかりは、これから発表される3月期決算にあります。4月中旬から5月中旬にかけて決算が出てきますが、その中で業績見通しのいいものが買われることになります。

 それが引き続き、海運、鉄鋼、商社などのバリュー株なのか、あるいは話題となっている「対話型AI(人工知能)」などのテクノロジー関連なのかを見極める必要があります。

 バリュー株も、引き続き業績がよく、高配当が続くといった見通しになると「配当落ち」後も、それほど株価が下がらない可能性もあります。

 ─ 新たな企業が成長し、資金が集まることは、日本全体の成長にとって重要ですね。

 菅下 そう思います。今後、日本の株価が上昇していく時に最も大事なテーマは技術革新、イノベーションです。大企業、ベンチャー企業問わず、革新、改革を目指している企業が買われることになるでしょう。

 ─ 日本では賃上げの機運は大企業を中心に高まっていますが、生産性が上がらないままだという課題があります。中小企業などはなかなか賃上げができないという声も強い。

 菅下 ええ。ただ、多くの企業が「業績がよくないので賃上げができない」というわけですが、このデフレ的発想が日本の「失われた30年」を招いたと思います。発想を「業績が悪いから賃上げができない」ではなく「賃上げをしたら業績がよくなる」という方向に転換する必要があります。

 デフレの時は価格を安くしないと売れませんが、インフレの時代には価格を上げないと利益を上げることはできません。利益が出れば賃上げができる。

 物価が上がったら人々は以前の給与水準では生活できませんから、企業に賃上げを要求します。企業は労働力を確保するために賃上げし、その分は価格に転嫁するというのが米国などのインフレスパイラルです。日本は逆のデフレスパイラルを続けてきました。

 ─ 日本は商品価格を上げることに根強い抵抗があります。

 菅下 日本は長年、低賃金・低価格に慣れてしまってきたことによります。企業も個人もデフレマインドに浸かって、その間株価も上がらなかった。この流れを変える必要があります。

 どちらにしても、23年第2四半期の4月以降、脱デフレ、株高のニュートレンドが始まるものと予想しています。

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