2023-04-11

「米国株は波乱相場、下落が続く。日本は30年続くデフレを脱却できるかが問われる」スガシタパートナーズ・菅下清廣

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長




金融危機は抑え込めるのか?

 ─ 米SVBなどの破綻を受けた政府による預金保護、UBSによるクレディ・スイス買収で、当面の危機は抑えられると見ますか。

 菅下 ええ。なぜなら、欧米では08年のリーマンショックの際、リーマン・ブラザーズを破綻させたことは「失敗だった」という反省があるからです。

 この破綻は、世界的な金融恐慌につながりかけました。規模の大きい金融機関を破綻させることは、メリットよりもデメリットの方が大き過ぎるということを欧米を始め、世界の市場関係者が学びました。

 FRBやECB(欧州中央銀行)など中央銀行が「最後の貸し手」となり、いかなる金融危機にも対応することが予想されますから、それによって危機は抑え込めるのではないかと見ます。例えば、今回のクレディ・スイスの危機では、UBSによる買収が成立しなかった場合、スイス政府が国有化することも検討したと報じられました。

 ─ 以前から、欧米の金融引き締めによる景気後退の可能性は指摘されていたものの、いきなり金融機関の破綻、経営危機が起きたことについては市場の警戒感が強いものがあります。

 菅下 これは新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、世界の中央銀行は「未曾有の金融緩和」を実行しました。

 中でも、最も大規模な金融緩和を行ったのは米国です。そのFRBが急激な金融引き締め、急速な利上げに転じたことで、脆弱な金融機関が危機に陥ったのです。

 かつて日本のバブル崩壊の時には、当時の日銀総裁の三重野康氏は「やり過ぎ」たわけです。これによって今なお、「失われた30年」が続いています。そして米国で銀行が破綻、株価が下落している現状を見ると、FRBも、すでに「やり過ぎ」ている可能性があります。

 さらに、米国経済にとっての悪材料は、現在のバイデン政権が「増税路線」だということです。増税と金融引き締めは景気悪化、株価下落につながります。加えて、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学リスクもあります。

 その意味で、米国の株価が上昇する材料は足元では見当たりません。それに比べれば日本の状況は金融緩和が継続され、ロシア・ウクライナ戦争に直接は関係していないということで、日本の株は今後上昇する可能性が高まっています。

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