2023-02-23

【著者に聞く】 日本テレビ「news every.」 前統括プロデューサー・大野 伸

『メディアを賢く消費する「情報リテラシー」情報洪水時代の歩き方』 大野 伸 著 同文舘出版 定価2200円(税込)

「マスゴミ」、そんな言葉がネットで流布されるようになり久しい。日本の未来を支える若い人たちに、されどメディアの癖を知ることで操られるのではなく、うまく人生を豊かにする情報を得ることが出来るのだよと伝えたいという気持ちで、私は本書を執筆した。

 この「マスゴミ」という言葉は大学などで若い人と話をすると必ず聞かれるワードであり、同時に「陰謀論」的な発想に傾斜してしまう人が少なからずいることが分かった。情報が溢れる中で、何を信じたらいいのか分からなくなると、「マスゴミ」そして「陰謀論」というようなワードが、悩み多き若者には一見明快な答えを出しているように、そして本質を突いているように見えるようだ。

 こうした若者たちにメディアの特性を伝えるとともに、情報の読み解き方や整理の仕方を伝え、SNSを使い日常的に「発信」をしているデジタルネイティブ世代に、SNS発信のメリットとデメリットも伝えたいと考えが発展した。

 その結果、本書は、テレビ報道のみならず、デジタルを含めて報道や情報を俯瞰する内容となり、広報などのビジネスパーソンやデジタルの落とし穴に疎いシニア世代なども含めて、現代社会で情報と向き合い生きている全ての人々が生き抜くための「視座」を提供する内容に仕上がったと考えている。また、本書では上から目線で説教をするのではなく、テレビ報道マンとしての経験、さらには一人の人間としての熱い冒険談も含めて赤裸々に伝えることで読者の心に響けばと想い、私事を含めて様々な事例も極力入れ込んだ。

 この3年間のコロナ禍では様々なFAKE情報がネット上で流れており、公共電波を使うテレビ報道の使命として生きるために正しい情報を伝えなければならない、という意識でOAに臨む日々が続いていた。一人一人のテレビマンが必死に考え、戦ってきたリアルな姿をお伝えすることで、「マスゴミ」批判へのお答えとなればと思っている。

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