2023-02-28

【地雷除去ロボットの開発で世界貢献!】 IOS代表取締役・今井 賢太郎

今井 賢太郎・IOS代表取締役

JICAの紹介で地雷除去の仕事を知る



 ─ 地雷除去ロボットの開発を手掛けるIOSですが、2016年に会社を設立した経緯から説明してもらえますか。

 今井 社名のIOSというのは、「Innovative Operations Systems」の略です。もともと当社が会社を設立したのは、きつい、汚い、危険の〝3K〟仕事をロボット活用で自動化しようと。特に日本は人手不足の時代になりますから、これから必要とされるだろうと設立した会社です。

 ─ ということは、当初は地雷除去の会社ではなかったということですね。

 今井 最初はソーラー発電所を展開している会社さんの依頼で、太陽光パネルの周辺の除草システムを考える業務から始まりました。雑草が伸びてくると影ができ、太陽光パネルの発電効率が落ちます。それを防ぐために、ローコストで草刈りのできる機械をつくる仕事でした。

 翌2017年、国際協力機構(JICA)の紹介でカンボジアの政府機関「カンボジア地雷対策センター」(CMAC=シーマック)を訪問しました。JICAは長い間、ODA(政府開発援助)の一環でCMACの地雷除去活動を支援しています。

 われわれが開発した地雷除去ロボットが認められて、カンボジアがそのロボットを是非使いたいという話になれば、政府の資金が出るかもしれないという期待がありました。

 ─ なるほど。そういう経緯で地雷除去ロボットの開発を始めたわけですね。

 今井 ええ。そこでカンボジアへ行き、地雷原を視察しました。テレビなどでご覧になったことがあるかもしれませんが、多くの国で行われる地雷除去作業は、作業員が膝立ちになり、身をかがめて、地雷原に埋まっている地雷を粗末な道具で探しています。この見えない地雷を探る作業中に、誤って地雷を爆発させることがあります。

 CMACの場合、過去122件の事故があり、うち6割がこの地雷に近接しての作業中に起きています。この手作業による地雷原掘削が、地雷除去に関わる作業の中で最も危険を伴います。

 ─ 手作業を自動化する方法は他にないんですか。

 今井 日本の企業が開発した大型の地雷除去機材があり、それが使える場所では効率的です。しかし、大型機材が入れない場所では危険な手作業が行われています。カンボジアのケースで言いますと、地雷が埋められて30年ほど経っているので、地雷の起爆スイッチが埋められた当時のまま上を向いているとは限りません。洪水が多い国ですから、雨で土の中の地雷が流され、地雷の向きが変わってしまうことがあります。

 埋まっている地雷は作業員の目に見えないので、起爆スイッチが上を向いている前提で除去作業が行われますが、運が悪ければ、横を向いていた地雷の起爆スイッチに触れ、爆発させてしまう。

 最も問題と思われるのはこの部分で、作業の安全確保の一部が「運任せ」になってしまっていることです。地雷処理に限らず、どんな作業でも予期せぬ事故が起きてしまうことはあると思いますが、理論上の安全確保がされています。

 しかし、地雷除去の現場では、それがしっかりなされていると言えない状況で、日々の作業が行われている。そこをロボット化できればと考えて、われわれは地雷除去ロボットの開発を始めました。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事