2023-02-22

「シャウエッセン」を育てた井川副社長が【日ハム】次期社長に

日本ハム次期社長に就任する副社長の井川伸久氏(左)と現社長の畑佳秀氏(提供:日本ハム)

父親は鉄工所の経営者 

 原材料高に見舞われる食品業界にあって、基幹ブランドを育てた人物で難局を乗り越える構えを見せているのが日本ハムだ。 

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 4月1日付で次期社長に副社長の井川伸久氏(61)が就任する。現社長の畑佳秀氏(64)は6月の株主総会後に相談役に就く。井川氏は3月17日付で、北海道日本ハムファイターズのオーナー職にも就任する。 

 畑氏が財務・経理部門の出身であるのに対し、井川氏は営業畑出身で、外食や食品加工メーカー向けのハム・ソーセージ販売などに長年携わってきた。 

 畑氏は、たんぱく質の可能性を広げる「2030年のグループビジョン」を策定し、肉の代わりに大豆やこんにゃくなど、植物由来の原料を使用して肉の食感や風味を再現した「ナチュミート」を展開。 

 また、利益率が高い食肉ブランドの強化や水産・乳製品部門を食品加工事業に統合するといった構造改革も進め、事業利益を大幅に増やした。 

 井川氏は畑氏のビジョンを継承する考えを示した上で、「高付加価値商品を育てるため、研究開発も強化している。海外事業は豪州の牛肉や北米の加工食品を拡充していく」と語る。 

 井川氏の功績として大きいのがウインナーソーセージの定番でシェア2割を占める「シャウエッセン」を停滞していた状態から再成長につなげた点だ。18年まではプレーンのシャウエッセンのサイズ違いを販売していたが、シャウエッセンを使ったピザを投入した後の19年には味のバリエーションを増やした。 

 辛口の「ホットチリ」やチーズを練り込んだ「チェダー&カマンベール」などを発売し、これらの派生商品がコロナ禍でもヒット、販売増を支えた。プレーンの味しか売らない方針を転換したのが井川氏だった。 

 足元の原材料価格の高騰はおさまりを見せず、食品メーカーは値上げの決断を迫られる。それだけに、値上げに見合った商品展開が求められることになる。また、畜産業の人手不足対応や海外展開など課題も多い。 

 鉄工所の経営者だった父親譲りの商売人気質を発揮できるかどうかが試される。

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