2023-02-28

【地雷除去ロボットの開発で世界貢献!】 IOS代表取締役・今井 賢太郎

今井 賢太郎・IOS代表取締役


カンボジアに埋められている地雷は400~600万個



 ─ 開発はすぐにできるものなんですか。

 今井 いや、当初はかなり難航しました。17年に視察してから、1年に1台ペースで試作・改良を重ねました。わたしたちの会社で作りたい機械のイメージを取りまとめ、大企業から中小企業の町工場まで仕事を頼んで周って、ロボットを開発してきました。

 初期にカンボジアに持ち込んだ試作機については、現地の人たちも、日本の会社がとんでもなく使えないものを持ってきたと驚いたのではないかと思っています(笑)。

 ─ やはり、簡単にはいかないわけですね(笑)。

 今井 しかも、そこに新型コロナウイルス感染症がやってきたので、2年ほど現場に渡航できない期間がありました。その間、カンボジア側と連絡は取り合っていたものの、実際に現地に機械を運ばないことには、話が進まないところがどうしてもありました。

 ようやくコロナによる渡航規制が落ち着いてきて、昨年の春、5号機を投入しました。試験場での作業性能、安全性能はOKとなり、秋頃にカンボジア側でロボットチームが編成され、わたしたちがトレーニングをして、11月に実際の地雷原にロボットが投入されました。

 わたしがチームに立ち会った最初の3日間で不発弾1個と対人地雷1個が見つかりました。

 ─ 実際にそういう場を目の当たりにして、今井さんはどのようなことを感じましたか。

 今井 地雷というのは本当に厄介な存在で、地雷があると土地が使えない。農業もできないし、道をつくったり、学校を建てたりすることもできません。

 カンボジアには内戦時に400~600万個の地雷が埋められたと言われていて、この他、世界60の国や地域に地雷があります。世界中に埋設されている地雷の数は7千万個以上、全ての地雷除去にかかる年数は1千年以上かかると言われているんですね。

 ─ 1千年以上?

 今井 はい。気の遠くなるような作業が続くわけです。地雷を除去しない限り、周辺住民が深刻な怪我を負う事故が続き、運が悪ければ命を落とすと。だから、早く取り除いた方がいいというのは誰もが分かっているけれども、なかなか技術であるとか、資金というのが十分に行き渡っていかない。そういう現状を見て、わたしも何か役に立てることはないだろうかと。

 縁があって地雷除去ロボットの開発に携わったわけですから、何としてもこのロボットを多くの国で実用化して、地雷問題を早期に、つまり、千年も時間をかけず解決する、ひとつの道筋をつけたいというのが、わたしの今の夢になっています。

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