会社はいつでも潰れるもの
柳井 それと最近思うのは、日本自体の劣化ですよね。昔の人は戦争の記憶があったから皆、苦労していますよね。今の人はあまり苦労していないように感じます。
それと成長するということに対しての価値観が違うんです。すでに資産みたいなのができていて、その地位や会社自体が安定することが当たり前だと思っている。でも、会社に安定ということはないんですよ。
だから、経営者には危機感がないとダメだし、会社はいつでも潰れるもの。潰れないようにするために経営が必要なのだと思います。
─ 大事なのは、その辺りの覚悟ですね。命ある限り、会社を潰さないぞと。
柳井 命ある限りだし、世界中にはチャンスがごまんとあるんです。
われわれだって、衰退する石炭の町(山口県宇部市)で創業し、しかも、商店街にある洋服屋ですからね。ファッション産業が成功する要素が何もないところから出発して、現在の位置にいるということを考えたら、わたし以上に成功する要素を持っている人は沢山いるということだと思います。
─ これも勇気づけられる話ですね。人はそういう可能性を皆持っていると。
柳井 持っていますよ。だから、自分がそれをまず考えて、どういうことをやろうかというのを個別、具体的に書き出して、その上で実行する。実行して、達成するのはどういうことなのか? というのを考えて達成する。それの繰り返しですよ。
そう考えると、今は凄いチャンスですよ。皆消極的になっている今こそ、飛び出せばチャンスがあると思いますね。