2022-12-31

クリックテック・ジャパン・今井浩カントリーマネージャーが語る「リアルタイムのデータを把握して次の行動ができる人材を!」

コロナ禍を契機に世の中ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれています。それ以前から日本はGDP(国内総生産)で韓国に抜かれ、1人当たり生産性も低迷が続いています。この逆境をどうやって跳ね返していけばいいのか。

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 日本はこれまで現状のカイゼン活動では強みを発揮してきました。ところがゼロから物事をクリエイトする力は不得手です。しかし、カイゼンという得意技を生かしてゼロから物事を創り出すことは可能です。そのためには人材の育成に今一度、立ち戻る必要があると思います。

 世の中をより豊かにするためには今やデータの活用は欠かせません。ただ、データの活用といっても、過去のデータを分析するだけでは新たな物事は生み出せません。もはやスマートフォンが1人1台の時代となり、天気予報も地域と時間を選ぶと、知りたい情報が瞬時に分かるようになりました。つまり、リアルタイムでデータを活用していく力が求められるのです。

 しかも、「知らないうちに組み込まれている」ことで行動が変わり、習慣が変わっていきます。実は日本の企業は多くのデータを取得できています。しかし、どこでどのようなデータが取得できているのか、適切に処理されて保管されているのかといったことまでは把握できていないまま、データが蓄積されているのです。この状況が改善されれば、日本の企業の生産性は劇的に改善させることができます。

 例えば、自動車大手のホンダ。コロナ禍や中国のロックダウンの影響で部品不足が生じ、毎月のように減産が発表されました。しかしこれは見方を変えれば減産をあらかじめ公表することによって無理や無駄をなくし、最低限のダメージで抑えることに成功していると言えます。

 実はこのとき、ホンダはマーケット調査をはじめ、SNSなどからのレビューコメントをリアルタイムで把握し、市場の声を正確に理解していったのです。そして生産計画の見直しを実施し、減産を発表。市場の期待値をコントロールしました。

 こういった市場の声を拾うことによってR&D(研究開発)にもフィードバックさせています。既存のクルマの品質改善に活用することもできますし、ディーラーの在庫を把握することで、より強固なサプライチェーン(供給網)づくりに磨きをかけることにもつながります。

 私が言いたいことはリアルタイムでデータを拾うことで、瞬時に次のアクションを促す仕組みが自然と経営に組み込んでいかなければ真のDXは実現できないということです。では、それを実現するためにはどのような人材教育が必要なのか。

 リアルタイムのデータを取得した上で、そのデータがどのようなことを指し示しているのかを咀嚼して新たな行動に踏み出すことができる力です。その際、気を付けなければならないことは会社のビジョンを腹落ちして理解してもらっているかどうかになります。

 日本の企業のビジョンはどこの企業も素晴らしいものばかりです。そのビジョンを身に染みて理解し、ビジョンに沿った思考で次のアクションが起こせる人材こそ次のビジネスを生み出せる人材になります。そのためには教育は避けては通れません。

 当社のサービスではリアルタイムにデータを把握できますが、そのデータを使って次のビジネスモデルを生み出せるかどうかは〝人〟にかかっているのです。ITは人間がつくったもの。それを人間が使い倒すべきなのです。日本再生に向け、データを使い倒す人材育成が急がれます。

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