2022-12-20

【貯蓄から投資へ】大和証券グループ本社・中田誠司社長 「米国は40年かけて投資環境を築いてきた。日本も『30年計画』で取り組みを」

中田誠司・大和証券グループ本社社長



デジタルIT人材育成で社内に「化学反応」を


 ─ 顧客ニーズ、時代の変化を捉えるための人材育成を進めてこられたと思いますが、「デジタルIT人材」の育成にも注力していますね。

 中田 「デジタルIT人材」が日本で不足すると言われて久しいわけですが、それに対応するべく外部人材を求めると同時に、内製化して育成しなければいけません。

 デジタルやIT、AI(人工知能)の高い専門知識を持っている人でも、実際のフロントのビジネスがわからなければ、それをどういう風に業務にアジャストさせていくかがわからないですよね。

 フロントビジネスがわかった上で、データサイエンスやAIがわかる人材に育てることが重要です。そのために、我々は社内でデジタルIT人材を育成しようと、3年前に「デジタルITマスター認定制度」という社内資格制度を立ち上げました。

 候補者を社内で募集し、最初は約900人の応募があり、そこから50人強を選抜しました。彼らを3年間のプログラムで、OJT(On-the-Job Training=実務を通じた職業教育)と研修を繰り返して、「デジタルITマスター」という資格を認定しました。

 ─ そうして、実際のビジネスとITに通じた社員を養成していくと。

 中田 ええ。きちんと育てば、彼らはIT、デジタルに精通しており、かつ自分達のフロントビジネスのことも当然わかっています。23年度末には200名のデジタル人材育成を目指しています。そこに、さらにエッジの効いた外部人材なども採用していくことで、トータルでデジタルITに備えていこうというのが、我々の戦略です。

 ─ 日本でも人材の流動化が進む中、会社へのロイヤリティ(忠誠心)、帰属意識の問題をどう考えますか。

 中田 大和証券グループは、ロイヤリティを大事にする経営のフィロソフィを持っています。かつては、新卒で入社して定年を迎えるまで働き続けるという日本型雇用が中心でした。そうした中、今年度から私が人事に指示しているのは、200人のキャリア採用です。

 今まではグループのコアである大和証券で、キャリア採用は年に30~40人程度でした。新卒は、計画に基づいて毎年グループ全体で300~400人を採用しているのであれば、キャリア採用も毎年定期的に、200人規模で採用していこうと。

 それによって、いい意味での「化学反応」が起き、多様性が生まれるように、現在チャレンジをしているところです。

 ─ 22年は大和証券グループにとって120周年という一つの節目の年でもありました。そういうタイミングで新しいことに取り組んでいると。

 中田 大和証券グループはお陰様で120周年を迎えましたが、大和証券グループとしての揺るぎないDNA、コーポレートカルチャーを引き続き今後も大事にしながら、そこにいい意味での化学反応を起こして、組織をブラッシュアップしていく。そういう多様性は重要だと考えています。


なかた・せいじ
1960年7月東京都生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、大和証券入社。2009年大和証券グループ本社取締役、16年代表取締役副社長、17年4月代表取締役社長に就任。

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