観光地の渋滞緩和や地域の脱炭素化に活用
─ では今後、この人流データを使って、unerryはどのように成長していく考えですか。
内山 やはり、一つは小売業や外食の出店計画やマーケティングに活用していただく。小売業や外食の方々は今まで5年に一度しか行われない国勢調査をもとに計画を立てていたんですが、われわれと組むことによってリアルタイムの人の流れがわかるようになります。
もう一つは街づくりです。街をつくるにあたって、街の回遊性を高めるにはどうしたらいいかとか、防災のために都市部の混雑を緩和するにはどうしたらいいかなど、データを街づくりに活用してもらうんです。そうなると、産業規模が1ケタ、2ケタは変わってきます。
これはすでに三菱商事さんと資本業務提携していまして、日本国内だけでなく、海外でのスマートシティづくりなど、国内外で人流データをどんどん活用していこうという提携を結ばせてもらっています。
─ これは大都市が中心ですか。地方都市でも活用できるんですか。
内山 両方できますね。地方でも観光地の渋滞を緩和するにはどうしたらいいのか、また、最近は脱炭素化の整備が急務ですので、ここに電気バスを走らせたら自家用車の数が減って、CO2(二酸化炭素)の排出量が減らせるのではないかとか、街づくりそのものの基礎データとして活用できると思います。
すでに環境省さんと一緒に富山市や鎌倉市(神奈川県)で移動データの見える化と移動手段の解析を行い、地域の脱炭素化を図るための施策提言のとりまとめをご支援しました。また、宮崎銀行さんと一緒に地域企業のクーポンや情報を適切なタイミングで配信したりして、地域経済の活性化につながるような実証実験をしたりしています。
その意味では、人流データの活用範囲が今後ますます広がっていくことは間違いありません。われわれも日本のみならず、世界の街づくりに貢献したいと考えています。