2022-11-22

【農林水産省】大型クロマグロ、管理厳格化 電子報告導入、大間産不正で

写真はイメージ

水産庁は、高級なすしネタや刺し身として人気が高い太平洋クロマグロの漁獲報告ルールを厳格化する方針だ。リアルタイムで漁獲量を把握できる仕組みを導入することが柱。太平洋クロマグロの中でも最高級品とされる青森・大間産で昨年度に漁獲実績の未報告事案が相次いで発覚、国際的に信頼が傷ついた資源管理の徹底を図る。

 現在は、漁獲の翌月10日までに報告することが義務付けられている。新たなルールでは、漁業者に水揚げ後、タブレット端末を通じて速やかに数量などを届け出るよう求める。報告済みの太平洋クロマグロには競りに掛ける段階で電子タグを付け、不正流通を阻止する。

 太平洋クロマグロは、過去の乱獲が響き、産卵能力のある親魚の資源量(2010年)は9761㌧と過去最低を記録。日米台などが参加する「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」が15年から国際的な漁獲規制を講じたことが効を奏し、20年には6万5464㌧まで回復した。

 日本は国際ルールに基づき、小型魚(30㌔未満)と大型魚(30㌔以上)に分けて漁獲枠を設け、都道府県や漁法別に配分している。ただ、管理は漁業者任せなのが実態で、行政の目は完全に行き届いていない。

 政府が6月に取りまとめた規制改革実施計画では、大間での不正行為を念頭に置き、違法に取られた漁獲物の市場流通を防ぐため、遅くとも25年度までに必要な措置を講じると明記した。小型を漁獲する沿岸漁業者の負担を考慮し、まずは大型の太平洋クロマグロに新ルールを適用する方針だ。政府関係者は「25年度にとらわれずできるだけ早く規制を掛ける」と話している。

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