2022-10-11

【株価はどう動く?】菅下清廣氏が直言! 「長年の課題であるデフレを脱却し、これから日本株買いの時代が来る」

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長



日本はこれから「ゴールデンサイクル」に?


 ─ 世界では多くの国で株価は最高値を更新していますが、日本は抜けていません。この理由をどう見ていますか。

 菅下 それはデフレ不況だからです。これが非常に頑強なんです。そのデフレを克服するために、黒田東彦・日銀総裁が14年4月4日に登場し、「異次元の金融緩和」を始め、長年続けたにもかかわらず、日本は今なおデフレを完全には脱却できていません。

 なぜなら金利が0%台だからです。世界の中央銀行が目指しているのは適度なインフレ、2%です。ですから日本の金利が2%にならないと、デフレを脱却したとは言えません。

 黒田総裁が就任した時の目標である物価目標2%はなかなか達成できていないわけですが、ここに来て達成できそうになっています。それは24年ぶりの水準となる円安で1ドル=144円を付けたことによります。消費者物価指数は2・4%ほどを付けていますし、企業物価指数もさらなる上昇が見込まれます。

 ─ 長年の課題だったデフレが、皮肉にも為替の円安によって脱却できそうだと。

 菅下 日銀が何も手を打たなくても、円安によって、日本は23年にもデフレを脱却する可能性があります。日本の金利もいずれ上がってくるでしょう。黒田総裁は23年4月が任期ですが、次期総裁はおそらく、金融緩和の修正に動くでしょう。

 円安によってデフレを脱却すると同時にインバウンド(訪日外国人観光客)を呼び込むことで、景気回復も見込めます。

 ─ 欧米はインフレを抑え込むために金融引き締めをしていますが、やり過ぎると景気が悪化するリスクがあります。

 菅下 これは日本にとって有利です。日本は今もデフレですから、多少モノの値段が上がっても1%、2%のインフレにしかなりません。この猛インフレの時代に、世界の中でも有利な位置を占めることができ、今後日本は「買い」だといえます。

 なぜなら、円安で日本の株、不動産などはバーゲンセール状態です。加えて、セキュリティが世界で一番よく、食べ物も美味しいからです。私は23年以降は日本買い時代、日本株の黄金時代が始まると見ています。

 ─ 為替の円安はむしろ日本にプラスに作用する?

 菅下 前三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与の嶋中雄二氏は、23年、24年、25年は、4つの景気の波が全て上昇する「ゴールデンサイクル」が到来すると指摘しています。

 世界がインフレと戦う中、日本は適度なインフレに向かう。ですから、外国人から見ればインバウンドで日本に旅行したいというニーズが出てきます。

 こうしたインバウンドの好影響もあって、23年の年末に向かって、日経平均は3万9000円を目指す展開もあり得ると見ています。

 ─ 欧米や中国が経済的に足踏みしている状況下、日本はこの機会を掴む必要がありますね。

 菅下 そうです。世界ではインフレ、資源エネルギー価格の上昇が大きな問題となっています。特に欧州はこれまで、エネルギーをロシアに依存していますから、悩みは深刻です。中国にしても、人口増加で水と食料品の不足が懸念されています。

 そして何よりも、今後世界で問題となるリスクが難民、不法移民です。この問題は日本には、あまりないと言っていい。

 ─ 今後、格差の拡大も進みそうです。

 菅下 インフレによって、株式や不動産などの資産を持っている人は、より一層お金持ちになる一方で、一般国民は物価が上がり、生活費が上がるということで生活が苦しくなることが予想されます。これに対する反発などは起こり得ます。

 今後の世界情勢は、さらに厳しさを増すと思いますが、お話したように日本にとっては、個人も企業もやり方次第では、むしろチャンスです。

 ですので私は〝量より質〟でいずれジャパン・アズ・ナンバーワン再びの時代が到来すると予想しています。

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