日経平均はバブル期の高値を奪回できるか?
─ 一方で、日経平均株価の動きをどう見ますか。
菅下 日経平均も、底値は82年です。ニューヨークダウが776ドルを付けたのと同じ年の10月に6849円で底入れし、その後、バブル期の89年12月に3万8915円で天井を付けました。この時は7年の上昇でした。
日本の場合はバブル崩壊が日本だけの現象であり、世界の動きとは別でした。なぜ、そうなったかといえば、日本銀行の政策です。当時の日銀総裁の三重野康氏が急速な金融引き締めを行ったことと、大蔵省(現財務省)による不動産融資の総量規制によって危機に陥りました。
底入れしたのが09年3月10日で7054円でした。これは前年のリーマンショックを織り込んだ底入れです。82年の出発点に戻ったんです。価格の波動では、相場は元来たところに戻るということです。
そして、相場の世界では「天井は点、底入れは面」と言います。天井は瞬間で付け、底入れするのには時間がかかる。普通は2年半から3年かかります。波動には価格と時間の2種類ありますが、より大事なのは時間の波動です。
リーマンショックの後を見ても、09年で底値を付けたわけですが、3年後の12年11月に二番底を付けて、底入れしています。この時に何か起きたかといえば、当時の安倍晋三・自民党総裁が民主党から政権を奪還し、経済政策・アベノミクスによって「アベノミクス相場」が始まりました。
その後、21年2月16日に3万714円、9月14日に3万795円と、一番天井と近い水準で二番天井、ダブルトップを付けました。
─ 今後の展開をどう見ていますか。
菅下 相場は二番天井を付けてから本格的に下落します。21年9月から下落し、22年3月9日に2万4681円で目先底入れし、新しい上昇相場が始まりつつあります。
次の目標はどこか。短期サイクルでは今回の株価上昇の出発点はコロナショックの安値、20年3月19日の1万6358円です。ここから上昇して21年の2月、9月に天井を付けたわけです。大体、大きな相場の後は12ないし13カ月休みます。実際、21年2月に天井を付け、22年3月に底入れしているわけです。
もしこの後、22年3月9日の2万4681円を下回らずに上がっていくなら、第1波に対して上昇第2波が始まったということになります。この目標値は3万9000円近辺です。
─ そう分析する背景は?
菅下 20年3月のコロナショックの安値から、21年9月の高値まで約1万4000円上げています。次の上昇相場でも、同じくらいの水準、上がる可能性があります。
この相場が、もし今年後半から来年前半にかけて、21年9月の二番天井を抜いてくるようならば、次の天井である3万9000円を目指す展開もあるでしょうし、抜かなかったら、いつまでも3万円近辺止まりです。私は、突破して3万9000円台を目指す展開もあると見ています。