2022-09-05

【『財界』創刊70周年】「失われた30年」からの再生、何のために「道を拓く」のか?



医療界も改革の時!


 コロナ禍に見舞われて2年半以上が経つ。今、第7波が進行中で、気の抜けない状況が続く。現場の医療界からも「日本の医療のあり方を見つめ直す時」という声が高まる。「日本に家庭医を! 」と提言するのは、河北医療財団理事長の河北博文氏(1950年生まれ)である。

 河北氏は医療の原点に立って、これからの医療のあり方を提言、また自らの河北医療財団で新しい地域医療を実践するなどして知られる存在。現在、公益財団法人日本医療機能評価機構代表理事・理事長も務める。

 その河北氏は「日本は、人々の生活に寄り添う医療を仕組みとしてつくるべき」と訴える。

 その骨子は「プライマリ・ケア」の仕組みをつくり直すというところにある。日本には「かかりつけ医」があるが、これは極めて曖昧な概念。もっと人々の生活に寄り添う「家庭医」の存在が必要という考え。

 例えば、すでに家庭医制を敷くのは英国。6000万人の人口で全国を150の地域に分け、40万人の人口を1つの地域単位とする。1地域で大体40カ所設置だから、人口1万人を1カ所の診療所で担当。「5、6人の医師に6、7人の看護師、事務が4、5人、さらにはセラピストが何人かいて、大体30~40人の単位」と河北氏。

 家庭医を設けるためには現状の自由開業医制を変革、医療資源の適正な分配が必要になる。

 河北氏は生活に寄り添うために『受容』、『傾聴』、『共感』の3つが医療側に必要と強調。心を共にして患者に寄り添う─と提言。これは、医療界のみならず、受診する側の国民にとっても新たな視点を開かせてくれる考えだ。

『道を拓く』人達の変革の動機とは─。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事