2022-08-31

IHIが進める「経済安全保障」戦略、サプライヤーとの関係がカギ

IHI本社



 経済安全保障は国との連携も大事な分野。前述のように、8月1日には内閣府に「経済安全保障推進室」も立ち上がった。

 この背景について、経済安全保障推進室関係者は「ウクライナ危機など国際情勢の問題や、テクノロジー、イノベーションが国力を決める時代の中、外部からの脅威を未然に防ぐ重要性が高まっている」と話す。

 この状況下、従来型の安全保障のアプローチに加えて、経済的側面から国益を守る必要性が高まり、そのための法律が成立した。「経済安全保障を一体的に進めていくための法律は我が国ではなく、他国を見ても、なかなかない。その意味だけでも法案成立は意義あること」(同)

 推進室は各省庁からの出向者、約50人で構成される。国家安全保障局(NSS)とも連携しながら、推進法の円滑な施行の他、「セキュリティクリアランス」(秘密を扱う職員に対する適格性確認)の問題や、経済安全保障に取り組む企業の支援等といった、経済安全保障上重要な取り組みの旗を振っていく。

 企業に対しては「我々は企業の自由なビジネスは大前提で、影響は最小限にすることを意識している。経済安全保障法制に関する有識者会議の議論や経済安全保障の推進に関する基本方針案等(パブリック・コメントの意見募集期間は8月25日まで)をご覧いただければ、先行きの見通しが立てやすくなるのではないか。基本方針案には施策によって相談窓口の設置等を記載しており、周知・広報にも努めてまいりたい」と話す。

 今後、企業は国内外の企業と取引する際に「経済安全保障」を意識することが求められる。また、製品を生産する時、海外のどこか1カ国に依存することのないリスク分散も必要になる。ビジネスは自由である一方、経済安全保障に関してはきめ細かい対応が求められる。

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