経済人がもっと政治にプレッシャーをかけるべき
―― ルールの無いままでいいのか。これは皆が切実に感じていることではありませんか。
柯 いや、真剣に考えているのであれば、役所はもっと機能しているはずです。先ほどのKDDIやNTTドコモの通信障害にしろ、マイナンバーにしろ、穴だらけじゃないですか。
河野太郎さんが行政改革担当相だった時に行政手続きの印鑑を廃止すると言いましたが、何も進んでいません。デジタル政府をつくると言っても、いまだに住民票や印鑑証明を取得するために住民は区役所に足を運ばないといけない。デジタルの時代であれば、本来、こんなことはしなくて済むはずです。
―― 今回、河野さんがデジタル大臣に指名されましたが、そこは期待したいところですね。
柯 ええ。デジタル庁だって、つくっては見たけれど、まったく機能していません。だから、今一度立ち止まってデジタル庁が何をしているのか皆で考えないといけない。これもなぜ今回の参院選で議論にならなかったのか。残念でなりません。
―― 肝心なことが全然議論されていないと。
柯 こうした様子を見ていると、誰もデジタル化しようとしているとは思えない。それでも本気でデジタル化を目指していますと言うのであれば、あまりにもスピードが遅い。
―― こうした事実をどう解釈すればいいですか。
柯 日本という国は不思議な国で、毎年のように何とか庁がつくられます。それは昨年できたデジタル庁しかり、来年設置される「こども家庭庁」しかり、今度は「内閣感染症危機管理庁」をつくると言い出しました。本当にどれだけつくれば気が済むのでしょうか。