2022-06-28

【イメージワン・島岡潤社長】CTやMRIの画像のシステムの構築・運用から「出向く医療」の提案



へき地医療や災害医療で活躍する新たな医療を提案

 ―― 具体的にどのようなサービスになるのですか。

 島岡 CT装置や超音波診断装置、免疫・生化学分析装置などの検体検査機器を搭載した検査用車両と発電機や検体検査関連機器、管理薬品・試薬保管用冷蔵庫を備えた電源用車両の2台で運用します。トラック車両を改造したものになるので、「出向き医療」がテーマで、来年度の納車を予定しています。

 この「メディカル・コネクス」という車両内で行ったCTや超音波の検査であったり、検体検査の結果は、車内ですぐに分かるようになっています。また、電源も積んでいるため、災害などの有事が発生した際の災害医療では、災害が発生した現地に駆け付けることができます。

 東日本大震災のときも、沿岸部に近い場所にあった病院は津波で流され、その付近は医療崩壊をしてしまいました。しかし、メディカル・コネクスのような車両があれば、有事のときでもしっかりとした医療を提供し、災害医療に対応することができます。これは全国でも当社が先駆けて行う取り組みになります。

 ―― やはり地方自治体のニーズが大きいのでしょうか。

 島岡 自治体や自衛隊も興味を示してくれています。当社がメディカル・コネクスを所有して車両を使っていただくケースと地方自治体などにご購入いただくケースの両方が考えられます。おそらく後者の販売がメインになると思います。ですから、都道府県が所有して病院が搬送のために使うドクターヘリのような流れになるかもしれません。

 ―― メディカル・コネクスは国内で作っているのですか。

 島岡 ええ。UDトラックスが製造を担っています。ただ、中身に搭載する機材などはシーメンスヘルスケア社の製品になります。シーメンスと当社は業務提携をしており、メディカル・コネクスは日本の仕様で製造しました。平時のへき地医療と有事の災害医療という2つのテーマを掲げて検討してきた結果、メディカル・コネクスの開発につながっていきました。


シーメンスヘルスケアが開発した移動型医療ソリューション「メディカル・コネクス」では、臨床検査などができる仕様になっている

 やはり医療において最も大事なことは「待つ」ではなく「出向く」ことだと思うのです。これまでの医療は患者様に病院まで来てもらい、患者様を待っていることが当たり前でしたが、そうではないと。むしろ病院が患者様のもとに出向くことが今後の医療サービスのテーマになるのではないかと思うのです。

 ―― サービス提供の対象地域はどう考えていますか。

 島岡 全国です。ただその場合は、本州、九州、四国といった形で地区ごとに分けて取り組んでいかなければならないと考えています。要はメディカル・コネクスを使ってどの部分の社会課題を解決するかを定めることが一番大事なのです。

 例えば救急の現場へ行くと、救急車の搬送件数はこの10年ずっと右肩上がりです。受け入れる病院が見つからず、たらい回しになってしまうケースが後を絶ちません。そういう場合に、救急隊から提案されているのが、救急隊が医師を乗せたメディカル・コネクスを運転し、自分たちから患者様のところへ出向くことができるのではないかと。

 救急隊の方々が、自分たちがそれをやるのが一番い早いのではないかという現場としての意見を持っているわけです。そうすると、誰がメディカル・コネクスを所有するのかという話になります。そこで都道府県が所有すればいち早く普及していくのではないかと思っています。

 ―― 患者の下に早く駆け付けられれば治療も早くできます。

 島岡 そうです。その点、東京都内にはあまりニーズがないかもしれません。東京都内には病院がたくさんありますからね。むしろ、郊外や地方に実用性があると考えています。それから南海トラフ地震が懸念される高知県や和歌山県、三重県などが関心を持ってくれています。

 国は病院の病床数を減らそうとしていますが、過疎地にある病院の病床数が減るとなると、地域住民の反対も当然出てくるでしょう。そういったところでも、このメディカル・コネクスを病床数の減少を補うために仕えないかと考えています。



Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事