2022-04-14

【ウクライナ危機】国際秩序、世界の政治経済はどうなるか、そして日本の立ち位置は?



エネルギー確保にも大きな課題


 ウクライナ危機で原油や天然ガスの価格が高騰。新電力と呼ばれる電力小売事業者が相次ぎ苦境に陥っている─。

 3月25日、東証マザーズ上場ホープの子会社で、新電力事業会社のホープエナジー(福岡市)が破産手続開始を申し立てた。

 新電力の多くは自前の発電設備を持っておらず、日本卸電力取引所を通じて大手電力会社から出た余剰電力を調達している。

 2021年の年明け以降、日本列島が厳しい寒さに覆われ、電力需給がひっ迫。新電力にとっても電力の調達コストが膨らみ、重荷となっていた。そこに来て、昨秋以降、欧州で風が吹かず、風力発電量が減少したことからLNG(液化天然ガス)の取引価格が上昇。資源価格高
騰により事業継続が困難に。

 3月16日には福島県沖で地震が発生し、火力発電所が停止したり、関東で雪が降ったことで一時的に電力需給がひっ迫。再エネ発電の不安定さや、エネルギーを輸入に頼ることのリスクも改めて浮き彫りとなった。また、今後は原子力発電所を含む〝電力の国産化〟も必至だ。

 ウクライナ危機は日本の金融・財政政策にも重い課題を投げかける。

 為替は円安・ドル高が進む。主な要因はFRBの金利引き上げで日米の金利差が開き、ドルを買う動きが強まっていること。

「次回、FRBが金利を0.5%引き上げるという観測が強まると、さらなる金利上昇、ドル高円安が進むことになる」と指摘するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。

 岸田政権は夏の参院選を控えて財政出動に動いており、これは円安につながる。円安は海外への富の流出を促す。

 今後、景気は「スタグフレーション」(不況下の物価高)の様相を呈することが懸念される。「企業にはまだ耐久力があるが、家計の消費マインドを大きく冷やす」(熊野氏)

 だが政府、日銀ともに有効な手を打ち出せずにいるのが現状。

 原材料や原油価格の高騰が続く中、流通大手の西友やイオンがプライベートブランド(自主企画=PB)商品の価格を据え置くと宣言。消費者の節約志向に対応する動きが出ている。

 一方、多くのメーカー各社からは「自社努力ではコスト上昇分を賄うことができない」と悲鳴が相次ぐ。原材料価格の高騰に加え、物流・輸送コストが上昇し、食品メーカーや製紙メーカーは続々値上げを表明。流通関係者は「1年でメーカーが3~4回も値上げをするのは初めてじゃないか」と話す。

 そうした中、某商社関係者は「ロシア・ウクライナから小麦を輸入していたアフリカなどの国々が今後、米国や豪州などの代替国を探すようになると、当然、日本も影響を受ける。数カ月後にはまた小麦、パン、うどん、パスタなどの値段が上がってくるだろう」と指摘。

 景気低迷下のインフレ、つまりスタグフレーションが避けられない中、国、企業、個人共に覚悟が求められる。

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