2022-02-24

「神泡」に次いで「ソーダ割り」を提案 【サントリー】の〝飲み方のファッション化〟戦略

国産ジンで市場創造を目指すサントリースピリッツ(左が社長の神田秀樹氏)

 一方のビールでは脇役的な存在だった泡に焦点を当てた。18年からプレモルのクリーミーな特徴の泡を「神泡」と名付け、料飲店から展開。その後は1秒間に4万回の超音波振動を伝える家庭用「神泡サーバー」も開発し、泡を楽しむという付加価値を提案している。サントリービール幹部は「『泡』はビールにしかなく、ビールの『おいしさ』に直結する」と強調する。

 22年は神泡に加え、「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」を投入。通常のプレモルよりも高い新商品を投入することで自宅などでのメリハリ消費、ちょっと贅沢、ちょっとした高額消費の需要を喚起する狙いだ。


1秒間に4万回の超音波振動を伝える家庭用「神泡サーバー」

 自宅での飲用─。コロナ禍を受けたビール業界では需要を喚起する切り口として、この要素が重みを持つ。アサヒビールの「スーパードライ 生ジョッキ缶」も全開になる缶のフタを開けると自然に泡立つ点が若者を中心に惹きつけた。キリンビールはクラフトビールで一般的なピルスナータイプのビールとは一線を画した味で勝負する。

 消費業界では、コロナ禍で家飲み需要は今後も続くというのが共通見解。国産ジンもライバルが少ないとはいえ、市場規模は大きくない。それでも「居酒屋などで飲む外飲みに加え、自宅にいながら自分で作って飲む瓶と手軽に飲める缶で三位一体の需要創造を目指す」(神田氏)という考えを示す。

 マーケティングに詳しい専門家はサントリーの取り組みを「商品とその飲み方をクールだと思ってもらえるような発信をしている。お酒の飲み方のファッション化と言える」と分析する。コト消費をいかに取り込めるか─。22年はサントリーの提案力が問われる年となる。

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