2021-12-10

【政界】国会で憲法改正論議に進展の機運 岸田首相に立ちはだかる公明党の壁

イラスト・山田紳



表紙は変わっても……

 立憲民主党では枝野幸男が衆院選敗北の責任を取って代表を辞任した。「創業者」が執行部から去り、野党第1党は重大な岐路に立っている。

 代表選に立候補した元首相補佐官の逢坂誠二、元総務政務官の小川淳也、政調会長の泉健太、元副厚生労働相の西村智奈美は、いずれも国会での憲法論議には応じる考えを示した。言を左右にして憲法審査会の開催を阻む戦術は限界だと自覚しているのだろう。

 しかし、改憲に批判的な党のスタンスが変わるわけではない。「改憲が自己目的化するのはおかしい。法律でできることを課題にして改憲を訴える必要もない」(泉)と岸田政権の出方を警戒している。国民投票法改正で積み残したCM規制の強化を再提起し、改憲手続きが拙速に進まないようクギを刺すとみられる。

 公職選挙法と国民投票法では運動の自由度が格段に違うため、国政選挙と改憲の国民投票の同時実施は実務面でかなりハードルが高い。それにもかかわらず維新の松井が参院選との「同日」を主張したのは、改憲の機運を高めるためだろう。国民投票には至らなくても、参院選で憲法が主要な争点の一つになる可能性はある。

 それは野党間の選挙協力にも影響する。立憲の代表選中、4候補は参院選での共産党との共闘を否定しなかった。32の「1人区」で与党と互角に戦うには、野党候補をできるだけ一本化する必要があるからだ。

 しかし、改憲反対が共闘の条件になれば国民民主党が離れ、「自民・公明」「立憲・共産」「維新・国民」の三つどもえの構図が鮮明になるだろう。しかも、支持団体の連合は立憲が共産と接近し過ぎたことが衆院選の敗因と分析し、見直しを迫っている。立憲のジレンマは大きい。

 維新幹部は「いずれは維新と自民の二大政党制に」と豪語する。第三極路線はその布石と言える。参院選をにらんで主戦場になる来年の通常国会で、岸田政権は維新との間合いに神経を使うことになりそうだ。(敬称略)

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