―― やはり、創業時の思想というのは大事なんですね。
御手洗 もちろんです。その企業が持つ経営思想というのは非常に大切だと思います。
御手洗毅は九州の出身ですから、西郷隆盛の『敬天愛人』という言葉が大好きでした。そういう信念を持っていたこともあり、当社のポリシーは大変ユニークです。当社の指針には「実力主義」、「新家族主義」、「健康第一主義」などというものがありますがこういった言葉はあまり他社にはないと思います。
また、行動規範にあるのは三自の精神「自発・自治・自覚」。これは、何事も自ら進んで積極的に行い(自発)、自分自身を管理し(自治)、自分が置かれている立場・役割・状況をよく認識する(自覚)ということです。そういう姿勢で前向きに仕事に取り組むことが大切です。
こうした人間主義を設立当初から貫いている会社はあまり多くはないのではないでしょうか。当社のこうしたポリシーは御手洗毅の人生観から来ているのだと思います。
―― こうした原点を忘れない企業は強いですね。
御手洗 そう思います。当社は創立から今まで、様々な問題を労使の話し合いで解決してきました。その結果、社員のリストラやストライキは一度もありません。
こういう伝統があるのも、「三自の精神」という考えが浸透しているからです。わたしはこれからも、こうした伝統を守り抜き、雇用を大事にする経営を継続していたいと考えています。