2021-07-08

なんと国内電力使用量は日本全体の約1%! 【イオン】が進める脱炭素戦略

吉田昭夫・イオン社長



 イオンは2018年に『イオン脱炭素ビジョン2050』を策定。2050年に店舗で排出するCO2をゼロにすることを打ち出した。実現に向けては、CO2排出量の約9割が電力由来であることから、店舗使用電力の削減(省エネ)と再エネ転換の両立に取り組んでいる。

 当面の中間目標として、2030年までに国内の店舗で使用する電力の50%を再エネに転換する方針[KN(奈1] 。鈴木氏はイオンモールの再エネ転換に加え、「2030年にイオンタウン約150店舗、イオンリテール約400店を再エネに切り換えることを視野に入れている。これができれば中間目標はクリアできる」と自信を見せる。

 この他、イオンはPPA(電力購入契約)モデルの導入を推進。他の発電事業者がイオンの敷地や店の屋根を借りて、太陽光発電システムを設置し、供給するシステムで、イオンとしては初期投資や管理コストが安価で済むというメリットがある。今後はPPAの導入店舗を約200カ所に拡大する考えだ。

 ただ、課題は再エネ導入にかかるコスト上昇をいかにして抑えるかということ。欧州などと違い、まだまだ日本では再エネの導入コストが高く、企業が再エネを導入すればするほど、コストも高くなってしまうからだ。

「リーズナブルな価格で再エネを調達できる方法がないかどうかは常に考えている。やはり、コストを許容できる範囲まで持ってこないと持続性が生まれない。地域で作った再エネを地域で融通する仕組みを当社が中心になって作っていきたい。グループのスケールメリットを出来るだけ生かして、事業性やコストとの兼ね合いを考えながら、再エネを調達できるスキームを考えていく」(鈴木氏)

日本の小売業で初めて『RE100』に加盟



 現在は、世界的に環境・社会・ガバナンスに配慮する「ESG投資」や国連が提唱する「SDGs(持続可能な開発目標)」を重視する動きが加速。自動車業界や鉄鋼業界など、製造業の動きがどうしても目立つが、イオンは2018年に日本の小売業で初めて、100%再エネでの事業運営を目指す国際イニシアティブ『RE100』に参画するなど、他社に先駆けて脱炭素化への取り組みを続けてきた。

 少子高齢化、人口減少時代に入り、ESGなどの指標が重視される昨今、こうした環境重視の取り組みは今後、消費者の購買動機や来店動機につながるのではないか。

「ここ数年、お客様の意識や行動の中に“環境”というキーワードが入ってくるようになったように思う。売上を増やすためではなく、われわれの事業が環境負荷をかけなくなる。そして、当社を利用してくれるお客様が環境活動に参画してくださることにより、その地域が良くなっていく。だからイオンで買い物しようという好循環のサイクルを生み出していきたい」(鈴木氏)

 日本最大の電力ユーザーであるイオン。小売業らしく、脱炭素へのキーワードはやはり“地域との連携”にありそうだ。

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