2024-04-18

「人はつながる動機を求めている!」MIXI・木村弘毅の事業ポートフォリオ変革論

木村弘毅・MIXI社長CEO




変化対応力を強みに


 木村氏はもともと父の経営する電気設備会社で働いていた。

 しかし、「特に会社を継ぐ気はなかった」木村氏が20代後半になると、世間ではインターネットが急速に発達し、モバイル機器が普及。「モバイルの世界でやばいことが起こりそうだ」と考え、携帯コンテンツ会社で働くようになった。

 いろいろな業界研究をする中で、木村氏はSNS『mixi』や創業者・笠原氏の存在を知る。1975年生まれの木村氏は笠原氏と同い年で、メディアなどを通じて笠原氏のインタビューを読んだりし、同社への憧れが強くなり、面接を受けた。

 ところが、面接は二度も不採用。「ダメだったかと思ったが、それでも何とか入り込めるだろうとも思っていた」(木村氏)ようで、三度目の面接を経て、2008年に同社へ入社した。

 その後は前述の通り、会社の苦境期に『モンスト』プロジェクトを立ち上げヒット。2018年から社長に指名された。当時は『モンスト』が売上の9割を占める〝一本足打法〟。こうした状況を打破するため、スポーツ事業への参入を表明した。

 やはり、SNSやゲームは流行り廃りが早い上に、新商品を発売するためには巨額の開発費や広告宣伝費が必要。『モンスト』も発売開始から10年が経ち、次の成長の柱が必要。そこで目を付けたのがスポーツだったというわけだ。

「過去の成功にすがりついていては、変革の荒波にもまれて陳腐化していくだけ。自分自身がつくったものを、仮に成功したとしてもそれを否定するぐらいの気構えでないといけない。だから、ゲームで成功した次はスポーツだと考えた」(木村氏)

 今年2月にSNS『mixi』が誕生20周年を迎え、6月には会社設立25周年の節目を迎えるMIXI。主力事業はSNS『mixi』からスマホゲーム『モンスト』へ変わり、そして、現在はスポーツを第3の柱に育てようとしている。およそ10年ごとに事業ポートフォリオ(構成)を変革し、主力事業を変化させていく変化対応力が同社の強みなのだろう。

「もちろん、狙って設計して仕込んでいるのもあるし、時代が変わればお客さんも変わって行く。われわれはコミュニケーション屋。コミュニケーションの機会や場所を提供することがミッションであり、『ユーザーサプライズファースト』で、ユーザーの驚きを何よりも優先する。ユーザーファーストになるなとよく言っていて、回答をお客さんに聞いてもダメだと。ユーザーの半歩先、一歩先を行って驚きを提供し続けることが大事だと思う」と語る木村氏。

 変化の激しいIT業界において、既存の事業だけにこだわっていては生き残りはできない。時代の変化に合わせて、事業ポートフォリオを変革させるMIXIの〝変わり身の早さ〟が同社の成長を支えている。

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