自分なりのロードマップをつくっておくことが大事
─ これまで在庫を持たないのが常識だったのに、在庫を持つ経営で成長を続けてきたのがトラスコ中山です。中山さんが1994年に社長になってから、今年でちょうど30年になるんですが、この30年の手応えをどのように感じていますか。
中山 わたしが社長に就任したのは35歳の鼻たれ小僧の時でしたから、あっと言う間の30年でした。われわれ機械工具の卸売業というのは、世間から注目されたり、脚光を浴びたりするような業界ではないですが、やはり何事にも徹底的に取り組むことで、何か成長できるドアが見えてくるような気がします。
30歳を過ぎた頃だったと思いますが、当時、顧問弁護士だった先生から言われたことがあって、それは「自分なりのロードマップをつくっておけよ」ということでした。例えば、いつ社長交代をするかとか、いつ上場するかといった計画を書いておけと言うんです。
ローランド社長 ゴードン・レイゾン「音楽や楽器を通じて、世界中の人とコミュニティをつなぎ、全ての人々をつなげていく!」 ─ 人生設計をきちんと考えろと。
中山 ええ。これは本当に大事なことを教えていただきました。当社ではお客様や仕入れ先様の社長のお子さんをお預かりすることがあります。彼らは将来的に実家に戻って、社長になっていくと思うんですが、きちんと彼らにも、会社に戻るタイミングや社長交代するタイミングを自分なりに考えておけよと伝えています。
そういう意識が無いとズルズルするだけですし、本人の自覚も出てきません。例えば、創業何周年の時に自分が会社を引き継ぐから、あと5年間で自分は何を学び、何をしなければならないかということですね。わたしだって実力も何もありませんでしたが、当時、先生から言われたロードマップづくりの話はとても印象に残っています。