2021-03-25

住友商事が東急と提携 携帯基地局5Gのシェアリングを開始

兵頭 誠之・住友商事社長

「5G(次世代通信規格)は様々な産業分野での活用が期待されている。シェアリングで5Gの普及に貢献することで、地域の活性化や携帯料金引き下げの後押しになる」と語るのは、住友商事メディア事業本部5G事業部部長の梅田礼三氏。

 住友商事(兵頭誠之)と東急は、携帯通信事業者向けに5Gを中心とした基地局のシェアリングサービスを行う新会社を設立した。新会社は住友商事が80%、東急が20%を出資。7月を目途に携帯通信事業者向け基地局シェアリングサービスの提供を開始する。

 通信速度が最大で従来の規格である「4G」に比べて100倍速いという5G。超高速の通信技術で、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの普及や自動運転、遠隔診療など様々な用途が期待されている。

 ただ、5Gは電波を飛ばせるカバーエリア(範囲)が狭く、多くの基地局が必要になる。ただ、基地局の設置には通信事業者にとって設備投資への負担増や、都心部での用地不足が課題となっている。そこで近年、米国や中国などの海外では基地局を共用する「基地局シェアリング」のニーズが高まっており、日本でも遅ればせながら同サービスが始まることになる。

 今回の提携により、両社は6月を目途に渋谷マークシティで実証実験を実施。屋内に5Gインフラを整備し、アンテナを通信事業者に貸し出すことで利用料をもらう仕組み。

 梅田氏曰く「通信事業者が単独で設置するよりコストが割安になる。施設のオーナーも各通信事業者や工事会社それぞれと交渉するよりも窓口を一本化できる」のがメリットで、2021年度中には東急沿線の駅や商業施設を中心に約100拠点で基地局設置を目指すという。

 東急の生活インフラ推進グループ課長の根本敬太氏は「まちづくりの会社として、デジタル都市基盤の整備が必要だと考えていた。5Gの環境を整えることで日本一住みたい沿線を目指す」と話している。

 これまで通信事業者は自前で基地局を設置し、その数の多さでカバーエリアを広げていくことが他社との優位性につながっていた。しかし、“所有から共有へ”と言われる時代にあって、基地局もシェアする時代になったようだ。

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