2023-12-13

冨田英揮・ディップ社長CEO 「バイト求人サイト「バイトル」などを運営 「時給を上げよう」のCMで賃上げに貢献」

冨田英揮・ディップ社長CEO

「アベノミクスで物価高を目指した頃から賃上げの必要性は感じていた」─。業界でもいち早くインターネットを介してアルバイトやパートと企業をマッチングさせるサービスを実現。「バイトル」などを展開する日本最大級の求人情報サイト運営会社として注目を集めている。

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 人手不足も追い風となって2024年2月期通期の売上高は563億円、営業利益145億円と増収増益を見込む。注力する事業としてAIを活用してマッチングの精度を上げる「AIエージェント」を開発中。「人ではない労働力を活用し、正社員より成約報酬が低いバイトでも採算が合うようにしたい」

 飲食業や販売業が主なクライアントで、アルバイト・パート・派遣求人メディア市場でのシェアは26.4%に上昇。コロナ禍でユーザーが感染したときに治療期間中の収入相当額を肩代わりしたり、一斉休校などで緊急に人材が必要なクライアントには「短期求人広告の無料掲載」などを実行。「安心感と信頼度が高まり、リピーターにつながった」と手応えを語る。

 これまで何度も〝どん底〟を経験したが、その度に新たなアイデアを捻り出した。軌道に乗っていた父親の英会話教室の事業がバブル崩壊で厳しくなったときに生徒募集で考えたのが「無料カタログ送付サービス」。

 また、様々な分野のカタログを専用の情報端末から取り寄せるシステムを開発しようとするが、資金調達に2年半奔走。会社設立後も、その端末の設置場所を巡ってIBMと対面することに。ここでは「自分たちはコンテンツを提供できる」と逆提案し、業務提携を結んだ。「皆さんからは『しぶといですね』とよく言われます」と笑う。

 昨今「時給を上げよう」というCMが話題を呼び、「クライアントも7割が賛同した」だけに賃上げにも貢献。「タウンワーク」でリクルートが先を行くが、「求職者と雇用主の両方に貢献できる」と自らの道を進む。

 休日は「6人いる子どもたちと一緒に過ごすことが何よりの息抜きになる」と顔もほころぶ。

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