─ サイバー攻撃への備えということですね。
小野寺 もう一つ、わたしたちが目指しているのは抑止力です。この国を攻めさせない。この地域で紛争を起こさせない。その抑止力のためには何が必要かというと、チーム力です。
すでに日本だけでは足りないので、同盟国の米国を含む日米豪印の協力枠組み「Quad(クアッド)」をつくりました。ただ、これだけでは、まだまだ中国やロシアへの十分な抑止力になりません。
そこで今、わたしどもが協力を強めようとしているのがNATO(北大西洋条約機構)です。NATOの加盟国は、基本的に欧州と北米の安全保障条約ですから本来、日本は入りません。
とはいえ、NATO全部の防衛予算は、世界の防衛予算の7割を占めていて、ここが後ろ楯になるということは、とても大きいことだと考えています。
─ NATOとの連携は、どのような狙いがありますか。
小野寺 日本は今、次期主力戦闘機を英国・イタリアとの3カ国で開発しようと考えています。この装備がNATO各国で使ってもらえるような標準装備になると、日本の部品がないとNATOの戦闘機が飛ばないということになる。
それがしっかりできると米国だけでなく、日本の周辺国やNATOを含めた大きな仲間が加わることになり、抑止力は格段に高まります。
つまり、防衛装備の協力というのは、同盟を結ぶのと一緒だと思っていまして、そういう流れで政策を進めています。
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