2023-10-11

元防衛大臣・小野寺五典「日本の防衛戦略には、この国を攻めさせないための〝抑止力〟と〝反撃能力〟が必要」

小野寺五典・元防衛大臣



 ─ サイバー攻撃への備えということですね。

 小野寺 もう一つ、わたしたちが目指しているのは抑止力です。この国を攻めさせない。この地域で紛争を起こさせない。その抑止力のためには何が必要かというと、チーム力です。

 すでに日本だけでは足りないので、同盟国の米国を含む日米豪印の協力枠組み「Quad(クアッド)」をつくりました。ただ、これだけでは、まだまだ中国やロシアへの十分な抑止力になりません。

 そこで今、わたしどもが協力を強めようとしているのがNATO(北大西洋条約機構)です。NATOの加盟国は、基本的に欧州と北米の安全保障条約ですから本来、日本は入りません。

 とはいえ、NATO全部の防衛予算は、世界の防衛予算の7割を占めていて、ここが後ろ楯になるということは、とても大きいことだと考えています。

 ─ NATOとの連携は、どのような狙いがありますか。

 小野寺 日本は今、次期主力戦闘機を英国・イタリアとの3カ国で開発しようと考えています。この装備がNATO各国で使ってもらえるような標準装備になると、日本の部品がないとNATOの戦闘機が飛ばないということになる。

 それがしっかりできると米国だけでなく、日本の周辺国やNATOを含めた大きな仲間が加わることになり、抑止力は格段に高まります。

 つまり、防衛装備の協力というのは、同盟を結ぶのと一緒だと思っていまして、そういう流れで政策を進めています。

続きは本誌で

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事