2023-09-25

【ANA・JAL】垣根を超えて「空港グランドハンドリング協会」を設立

訪日外国人の増加に伴って羽田空港も混雑を増している



賃上げを含む受託料の引き上げ

 国交省の有識者会議「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」の座長を務める慶應義塾大学商学部教授の加藤一誠氏は「JALとANAのような航空会社の垣根を越えた協会設立は評価できる」と語る。実際、両社は持続可能な航空燃料(SAF)の調達と確保や地域航空会社の維持・存続で手を携えるなど共同歩調をとるケースが増えており、今回のグランドハンドリングでも実現した形だ。

 一方で「インバウンドの8割は海外の航空会社が連れてくる。それを受け入れているのが日本のグランドハンドリング事業者だ。一方で、海外の航空会社を誘致しているのは自治体。誘致にお金を投じるよりも、空港で働く人たちのための交通アクセス整備や現場にお金が回るような仕組みを整えていくべきだ」と指摘する。

 航空会社がホスピタリティの重要性を強調するのであれば、グランドハンドリングにおいてもホスピタリティの「質」が求められる。人を惹きつけるためには「航空会社にも受託料を値引きしないといった努力が求められる」と加藤氏は訴える。

 ロボットなどの最先端機器の導入や機材の融通、規制緩和などで生産性向上は不可欠。そして肝腎なのは賃上げや正社員化といった労働環境の改善だ。もちろん、作業員自身のスキルアップも求められる。「縁の下の力持ち」とも言えるグランドハンドリングの魅力向上と待遇改善に向け、協会の役割は重い。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事