2023-10-04

日本生命保険社長・清水博氏に直撃!「対面の機会をより増やすと同時にデジタルのスキルを 高め、課題を乗り越えていく」

清水博・日本生命保険社長




顧客が望む加入経路に柔軟に対応する

 ─ 日本は大企業と中小企業の二重構造になっていますね。企業数で言えば中小企業が99%を占めますが、賃上げができるところ、人材獲得のために必要だから賃上げするところ、全く賃上げできないところと状況は様々です。どう対応すればいいと考えますか。

 清水 賃上げだけが人的資本を伸ばす方法ではないのだと思います。「リスキリング」という言葉に代表されるように、賃金の上昇は一定程度抑えられても、従業員の能力の再活用、あるいはさらに教育を含めてどう伸ばしていくか。

 つまり、教育や人の成長にお金を使うこともあるでしょうから、これはそれぞれの企業の考え方、懐具合、人の状況を見て、企業それぞれが判断をしていくことだと思います。

 いずれにしても、人的資本の成長というのは、各企業が考えなければいけません。

 ─ 様々な懸念要素がある時ではありますが、こういう時代の生保の役割をどう考えていますか。

 清水 生命保険の元々の事業は「安心・安全を提供する」ことです。当然、これまで業界としては140年近くにわたって生命保険商品、サービスを提供してきました。このことによって、日本は世界に冠たる保険大国になったわけです。

 一方で、子細に見れば、若者の加入率が減っている、死亡保障から医療や所得保障、資産形成などへとニーズが多様化していますから、その対応はしてきていますが、それが十分なのかどうかは自らに問わなければいけないと思っています。

 さらにその上で、お客様自身が、ご自身にとって最もふさわしいチャネルを選ばれます。営業職員の場合もあれば、金融機関や保険ショップなど代理店の場合もあり、ネットもありますから、各社が自分達はこのチャネルでいくというよりは、お客様が望む加入経路、アプローチに機動的に対応できるような会社になっていくことが大事だと思います。

 ─ 時代の変化に合わせて変化した契約者のニーズにどう対応するかが問われるのだと。

 清水 ええ。安心・安全を提供するのが生命保険の役割だとすると、社会課題がどんどん多様化して、複雑になってきています。例えば地球環境、脱炭素、生物多様性、加えて地域社会の活性化、その中における子育ての問題、少子化の問題など、こうした社会課題に生保業界として貢献をしていく。これらの社会課題の解決を通じて安心・安全を提供する役割が、重要になってきていると思います。

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